胃がんは日本人に多いがんであるため、研究もさかんであり、新しい治療法も次々に登場しています。
たとえば、内視鏡による粘膜切除術も、現在は「ITナイフ」と呼ばれる器具を使用することが増えてきました。これは高周波を発生する針金状の装置であり、がん病巣を含めて粘膜層だけを薄く広くそぎとることができます。
また別の治療法として、粘膜下層までであれば、レーザー治療(光線力学的療法)を選択肢に入れる医療施設もあります。これは、がんに集中しやすい物質を患者に注射し、その2~3日後にレーザーをがんに照射するというものです。
レーザー光に反応して物質が発生する物質によって、がん細胞が破壊されます。その他、がんワクチンや樹状細胞などを用いた免疫療法の臨床試験なども行われています。胃がんの5年生存率は比較的高く、粘膜下層までの早期がんであれば90パーセント以上です。
しかし、がんが漿膜まで達していると50パーセント以下に下がります。また、がんが食道の近くに発生した場合は、胃の下方に発生した場合より、5年生存率がかなり低くなります。
さらに、スキルスという種類の胃がんは転移や浸潤を起こしやすいため、発見時にはすでに手術ができないことが多く、手術した場合でも5年生存率は15~20パーセントにすぎません。
胃がんの手術後の再発はおおむね3年以内に起こり、5年以上再発しなければ医師は患者に完治したと告げるかもしれません。しかし、まれに10年後にがんが再発することもあり、定期的な検査は欠かせません。
以上、胃がん治療についての解説でした。