すい臓は胃の後ろにある20cmほどの臓器で、消化液と血糖を調整するホルモンを分泌しています。
すい臓がんは非常に発見困難で、見つかったときには手遅れであることも少なくありません。体の真ん中にあり、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓などの臓器に囲まれているうえ、内視鏡などの検査機器も入る場所ではないことから、早期にがんを発見する方法が確立されていません。
日本では、毎年、約2万人以上の人がすい臓がんで亡くなっています。良性の腫瘍からがんになることもありますが、ほとんどの場合、ミリ単位の大きさのときから悪性度の高いがんとして発生し、進行が早いのが特徴です。
早期発見のための検査としては、間接的にすい臓を見る方法しかなく、超音波、CT、MRIなどを用いますが、超音波ではすい臓の一部分が胃や腸のガスによって見えないという欠点があり、どうしてもCTスキャンやMRIが必要です。
最近はコンピュータで三次元の画像を映し出す「ヘリカルCT」、胆管やすい管の画像を撮影できる「MRCP」という検査法が出てきたことによって、多少、早い段階で見つけることができるようにはなりましたが、依然として早期発見は難しいといえます。
また、すい臓がんは糖尿病と非常に関係が深いことは、あまり知られていません。すい臓がんの人のおよそ半分は糖尿病の患者なのですが、糖尿病治療の専門家である内分泌科の医師は、消化器については専門外のため、意外とこの事実を知らないことがあり、すい臓のことをおろそかにする傾向があります。
糖尿病は、血糖を調整する役割を果たすインシュリンという物質の分泌が減ってしまう病気ですが、糖尿病だから仕方がないと思って放っておくと、実は、すい臓がんが進行していることがあります。すい臓がんでもインシュリンの減少という症状が出ますが、糖尿病の患者の場合は、もともとインシュリンの分泌が減っているので気付きにくいのです。
糖尿病でインシュリンが減ったことによってがんになったのか、すい臓がんでインシュリンが減ったことによって糖尿病を併発したのかは分かっていませんが、糖尿病の患者にすい臓がんが多いことは確かですから、糖尿病の人は必ずすい臓がんの検査もするべきだといえます。
糖尿病で病院にずっとかかっていたのに、気がついたらすい臓がんで、もはや手遅れだったというケースが少なからずあります。
以上、膵臓がんについての解説でした。