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08.子宮頸がん

【2026年更新】子宮頸がんの放射線治療を分かりやすく解説。外部照射・腔内照射の方法、効果、副作用と後遺症まで

子宮がん放射線治療

こんにちは。がん専門のアドバイザー、本村ユウジです。

子宮頸がんは、放射線治療が高い効果を示すがんの一つです。手術とともに根治を目指す治療として確立されており、病期に応じて適切に選択することで良好な治療成績が期待できます。

この記事では、子宮頸がんの放射線治療について、外部照射と腔内照射の具体的な方法、対象となる患者さん、治療の効果、そして後遺症や合併症について、最新の情報を踏まえて詳しく解説します。


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放射線治療の基本的な仕組み

放射線は細胞のDNAに直接作用して、がん細胞の増殖を抑制したり、細胞死(アポトーシス)を促進したりします。放射線は正常な細胞にも影響を与えますが、活発に分裂を繰り返すがん細胞の方が大きなダメージを受けるため、治療効果が得られます。

子宮頸がんは放射線感受性が高いがんとして知られています。特に扁平上皮がんは7割以上を占め、放射線治療への反応性が良好です。腺がんは扁平上皮がんと比べると反応がやや劣りますが、それでも治療の選択肢として重要な位置を占めています。

放射線治療の対象となる患者さん

子宮頸がんの放射線治療は、以下のような場合に適応となります。

根治を目的とした治療では、ⅠB期からⅡA期の子宮頸がんに対して、手術と同等の治療効果が得られることが「子宮頸癌治療ガイドライン2022年版」で示されています。1990年代にイタリアで行われたランダム化比較試験では、ⅠB期からⅡA期の患者さんで手術と放射線治療の治療成績に差がないことが証明されました。

ⅡB期からⅣA期の局所進行子宮頸がんには、放射線治療が最も推奨される治療選択肢となっています。この場合、化学療法と放射線治療を同時に行う同時化学放射線療法が標準治療です。

また、以下のような状況でも放射線治療が選択されます。

早期がんであっても、高齢であることや糖尿病、心臓病などの基礎疾患があるため手術が困難な場合、放射線治療が第一選択となります。近年では、早期がんに対する根治的治療として、卵巣機能の温存や性生活への影響を考慮して放射線治療を選択する患者さんも増えています。

手術後に病理検査の結果、骨盤リンパ節転移が陽性、間質浸潤が高度、脈管侵襲が陽性などの再発危険因子が認められた場合、補助療法として術後照射が行われます。術後照射により骨盤内再発率を下げることができますが、イレウスや下肢リンパ浮腫などの晩期合併症が増加する可能性があるため、慎重な判断が必要です。

再発や転移が認められた場合で、放射線を照射していない部位への再発であれば、放射線治療が選択されることがあります。

病期 推奨される治療 放射線治療の役割
ⅠB1期~ⅡA1期 手術または放射線治療 手術と同等の治療効果
ⅠB3期~ⅡA2期 同時化学放射線療法 第一選択(腫瘍径4cm以上)
ⅡB期~ⅣA期 同時化学放射線療法 最も推奨される治療
ⅣB期 薬物療法 緩和目的で選択されることも

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放射線治療の種類と方法

外部照射(体外照射)

外部照射は、体の外から放射線を照射する方法です。子宮頸部の原発巣、子宮組織、膣への浸潤部、骨盤リンパ節領域に対して広範囲に照射します。大動脈周囲リンパ節に転移がある場合は、その部位も照射範囲に含まれます。

治療開始前にCT検査を行い、治療部位や放射線の照射方向を決定します。照射する範囲や線量を正確に計算し、皮膚にマーキングを施します。2回目以降は、このマーキングを基準に照射位置を合わせます。

1回の照射時間は10~20分程度で、実際に放射線が照射される時間は数分間です。痛みや熱さを感じることはありません。通常、1日1回、週5日(月曜日から金曜日)の照射を5~6週間継続します。照射回数は25~28回が標準的です。照射線量は50~50.4グレイが一般的です。

近年では、正常組織への照射線量を減らし副作用を軽減する目的で、強度変調放射線治療(IMRT)や回転照射技術(VMAT)を用いる施設が増えています。これらの高精度放射線治療により、腸管などへの線量を低減できます。

腔内照射(小線源治療)

腔内照射は、膣から子宮腔内に専用の器具(アプリケータ)を挿入し、そこに放射線を出す物質(線源)をリモートコントロールで送り込んで照射する方法です。RALS(Remote After-Loading System、ラルス)とも呼ばれます。

この方法により、病巣に集中して高線量の放射線を照射できる一方、直腸や膀胱などの正常臓器への線量を抑えることができます。外部照射では十分な線量を投与しにくい子宮頸部の原発巣に対して、効果的な治療が可能です。

腔内照射は子宮頸がんの根治的放射線治療において必須の治療とされています。米国のデータでは、小線源治療を行わなかった場合、治療成績が顕著に低下することが報告されています。

治療の実際は以下のような流れで行われます。

まず、専用の腔内照射室で、仰向けで両足を持ち上げた姿勢(砕石位)をとります。痛み止めや鎮静薬を使用した状態で、子宮と膣にアプリケータ(タンデムとオボイド)を挿入します。施設によっては静脈麻酔や全身麻酔を使用する場合もあります。

アプリケータ挿入後、副作用を軽減するために腸を放射線源から離すようガーゼや綿を詰めて固定します。その状態でCT撮影を行い、腫瘍と正常臓器の位置関係を確認します。

専用の計画装置で、患者さんごとの腫瘍の形状や進展範囲に応じて線量分布を調整します。これは三次元画像誘導小線源治療(3D-IGBT)と呼ばれ、治療精度の向上と有害反応の軽減につながります。

計画が完了すると、アプリケータをRALS装置に接続し、放射性物質のイリジウム線源を通して照射します。実際の照射時間は10~20分程度で、照射中に痛みを感じることはありません。全体の処置時間は1時間半~3時間程度です。

腔内照射は、外部照射を開始してから2~3週間後にスタートし、週に1~2回のペースで、全体で3~5回実施します。

組織内照射とハイブリッド照射

通常の腔内照射では十分な線量投与が困難な大きな腫瘍や、不整形な腫瘍、膣に強く浸潤している腫瘍に対しては、組織内照射や腔内照射と組織内照射を併用するハイブリッド照射が選択されることがあります。

ハイブリッド照射では、通常の腔内照射用アプリケータに加えて、直径2mm程度の空洞状の針を経腹部超音波やCTガイド下で腫瘍に刺入します。これにより、線量不足の領域に効果的に放射線を投与できます。

組織内照射では、全身麻酔下で腫瘍の形状に合わせて針を刺入し、3~4日間ベッド上で安静を保ちながら1日2回の照射を行います。


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同時化学放射線療法

同時化学放射線療法(CCRT)は、外部照射と腔内照射に並行して抗がん剤治療を行う方法です。ⅡB期以上、特にⅢ期、ⅣA期では根治を期待した治療の第一選択となっています。

化学療法を併用することで、放射線治療の効果を高めるとともに、全身に広がる目に見えない小さながん細胞を根絶することが期待されます。海外で行われた複数の臨床試験により、放射線単独治療よりも同時化学放射線療法の方が生存率が向上することが証明され、現在の標準治療となっています。

使用される抗がん剤は、シスプラチンを週1回、体表面積当たり40mgを点滴投与する方法が一般的です。放射線治療と同じ日から開始し、全体で5~6回投与します。施設によっては、ネダプラチン(NDP)を使用することもあります。

より効果を高めるため、投与のタイミングや他の抗がん剤との併用など、さまざまな治療方法が検討されています。

治療期間とスケジュール

根治的放射線治療の全体の治療期間は、通常6~8週間程度です。治療は入院して行うのが一般的ですが、外部照射は通院で行える施設もあります。

標準的な治療スケジュールは以下のとおりです。

治療段階 治療内容 頻度・期間
外部照射(前半) 全骨盤照射 週5回、3~4週間
外部照射(後半) 中央部遮蔽照射 週5回、2~3週間
腔内照射 子宮・膣内からの照射 週1~2回、全3~5回
化学療法(併用時) シスプラチン点滴 週1回、全5~6回

途中で治療を休むと、がん細胞がダメージから回復してしまい、再発率が上がることが報告されています。一定の間隔で治療を進められるよう、体調管理が重要です。

放射線治療の効果

子宮頸がんの放射線治療は、病期に応じて良好な治療成績が報告されています。

ⅠB期からⅡA期では、手術と同等の治療成績が得られることが示されています。Ⅲ期でも40~50%の患者さんで根治(目に見えるがん腫瘍を消滅させること)が可能とされています。

近年、三次元画像誘導小線源治療(3D-IGBT)の導入により、治療成績はさらに向上しています。国内外の報告では、Ⅲ期およびⅣA期に限っても、80%以上の局所制御率が報告されています。

同時化学放射線療法により、放射線単独治療と比較して生存率が向上することが複数の臨床試験で証明されています。

放射線治療中の注意点

体調管理

放射線治療中は疲労感が強くなり、食欲が低下することがあります。十分な休息と睡眠をとり、栄養バランスの良い食事を心がけることが大切です。体力が低下していると副作用も出やすくなるため、健康管理が重要です。

スキンケア

放射線を照射した部位の皮膚は敏感になります。刺激の少ない石けんを使用し、下着は柔らかい素材のものを選びましょう。清潔を保つことは大切ですが、入浴時に強くこすって照射位置のマーキングを消さないよう注意が必要です。

尿や便の管理

腔内照射の際には、膀胱や直腸の状態が治療の精度に影響します。施設によっては蓄尿時間の管理や尿道カテーテルの留置、必要に応じて浣腸を行うことがあります。

放射線治療の副作用と後遺症

放射線治療の副作用は、治療開始後から数週間以内に起こる「急性反応」と、治療後数か月から数年経過してから起こる「晩期合併症」に分けられます。

急性反応(治療中から治療後数か月以内)

急性反応は多くの患者さんに生じる可能性がありますが、治療終了後には徐々に回復することが多いです。

全身症状としては、疲労感、だるさ、食欲不振、吐き気などがあります。照射部位の皮膚炎や粘膜炎も一般的です。

骨盤への照射により、下痢、膀胱炎症状(頻尿、排尿時痛)、直腸炎症状などが起こることがあります。これらの症状は一過性で、時間とともに改善します。

晩期合併症(治療後数か月から数年後)

晩期合併症は発生頻度は低いですが、生じると回復困難であったり、回復に長時間を要したりすることがあります。

合併症の種類 主な症状 発生頻度(Grade 3以上)
放射線性腸炎 消化管からの出血、腸閉塞、穿孔 5%以下
放射線性直腸炎 直腸出血、潰瘍 4~10%
放射線性膀胱炎 血尿、膀胱出血 5%以下
直腸膣瘻・膀胱膣瘻 膣から便や尿が漏れる まれ
膣の狭窄・癒着 性生活への影響 個人差あり
下肢リンパ浮腫 足や下腹部のむくみ 個人差あり
骨折(不全骨折) 照射部位の骨の脆弱化 10~15%(高齢者・低体重で高リスク)

晩期合併症のリスクを軽減するため、現在では高精度放射線治療技術が広く導入されています。強度変調放射線治療(IMRT)や三次元画像誘導小線源治療により、正常組織への線量を減らし、副作用の発生を抑える努力が続けられています。

卵巣機能への影響

閉経前の患者さんが骨盤への放射線治療を受けると、卵巣の機能がほぼ失われてしまいます。これにより女性ホルモンが減少し、更年期障害と同様の症状(ほてり、発汗、イライラ、頭痛、肩こりなど)が起こることがあります。

この症状は卵巣欠落症状と呼ばれます。症状が強い場合は、ホルモン補充療法などの対処が検討されます。

手術と放射線治療の選択

ⅠB期からⅡA期の子宮頸がんでは、手術と放射線治療のどちらも根治治療として推奨されています。両者の治療成績に差はないとされていますが、それぞれに特徴があります。

比較項目 手術 放射線治療
卵巣機能 温存可能な場合あり ほぼ失われる
排尿機能 影響を受けやすい 影響が比較的少ない
性生活 影響を受けやすい 影響が比較的少ない
リンパ浮腫 リスクあり リスクあり
治療期間 入院1~2週間程度 6~8週間程度

国内では、手術後の状態に適応しやすい若年者では手術を、高齢者や合併症がある場合は放射線治療を選択する傾向があります。ただし、治療選択に際しては患者さんの希望も重要な判断材料となります。

治療後の生活をイメージし、ご自分の希望をはっきりさせることで、自分らしい生活に適した治療法を選択することができます。担当医とよく話し合い、納得のいく治療方針を決定することが大切です。

治療費について

子宮頸がんの放射線治療は健康保険の適用対象です。実際の費用は治療内容や入院期間によって異なりますが、高額療養費制度を利用することで自己負担額を抑えることができます。

外部照射と腔内照射を併用した根治的放射線治療で入院した場合、窓口での支払額は50万円以上になることがありますが、70歳未満で年収約370万円~約770万円の方の場合、高額療養費制度を利用すると自己負担限度額は月額8万円台となります。

同時化学放射線療法を行う場合は、抗がん剤の費用が加算されます。治療が複数月にまたがる場合、各月ごとに高額療養費制度が適用されます。

重粒子線治療など一部の先進医療については、技術料が全額自己負担となります。ただし、民間医療保険の先進医療特約に加入している場合は、その保険でカバーされることがあります。

最新の治療技術

子宮頸がんの放射線治療は、近年の技術進歩により精度が向上しています。

強度変調放射線治療(IMRT)や回転照射技術(VMAT)により、腫瘍に集中して放射線を照射しながら、周囲の正常組織への線量を減らすことが可能になっています。特に術後照射では、腸管への照射線量を低減し、晩期合併症のリスクを軽減できます。

三次元画像誘導小線源治療(3D-IGBT)では、アプリケータを挿入した状態でCTやMRI撮影を行い、患者さんごとの腫瘍の形状や正常臓器の位置に応じて最適な線量分布を計画します。これにより治療成績の向上と有害反応の軽減が期待できます。

重粒子線治療は一部の子宮頸がんに対して保険適用となりましたが、治療を行える施設は限られており、現時点では標準治療とはなっていません。

参考文献・出典情報

国立がん研究センター がん情報サービス「子宮頸がん 治療」

日本婦人科腫瘍学会「子宮頸癌治療ガイドライン2022年版」

慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト「子宮頸がんに対する腔内照射・組織内照射」

京都大学医学部附属病院 放射線治療科「婦人科がん」

がん研有明病院「子宮がん 放射線治療」

広島大学病院 放射線治療科「子宮頸がん」

東京都立駒込病院「子宮頸がんの放射線治療」

川崎幸病院 放射線治療センター「子宮がん」

オンコロ「子宮頸がんの治療」

国立がん研究センター がん情報サービス「子宮頸がん 療養」

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本村ユウジ
本村ユウジ
がん治療専門のアドバイザー・本村です。

私の仕事は【がん患者さんに正しい選択を伝えること】です。

「本村さん、おかげで元気になりました」

そんな報告が届くのが嬉しくて、患者さんをサポートしています。

→200通以上の感謝の声(これまでいただいた実際のメールを掲載しています)

しかし毎日届く相談メールは、

「医師に提案された抗がん剤が怖くて、手の震えが止まらない」

「腰がすこし痛むだけで、再発か?転移か?と不安で一睡もできなくなる」

「職場の人も家族さえも、ちゃんと理解してくれない。しょせんは他人事なのかと孤独を感じる」

こんな苦しみに溢れています。

年齢を重ねると、たとえ健康であっても、つらいことはたくさんありますよね。

それに加えて「がん」は私たちから、家族との時間や、積み重ねたキャリア、将来の夢や希望を奪おうとするのです。

なんと理不尽で、容赦のないことでしょうか。

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