子宮頸部に放射線を照射した場合、放射線治療の副作用(合併症)は、7週間の治療が終了時点でピークに達し、約1か月後にほとんど解消します。治療の効果はもっとゆっくり続き、効果があったかどうかの判定は、照射のあと3か月を過ぎた頃になります。
3か月後に通常、子宮頸部の細胞診断、組織診断、内診、直腸診、エコー検査、そしてCT検査、MRI検査などの画像診断を行います。
これらすべてでがん病巣が認められないと評価されれば、子宮頸がんは放射線治療で根治(目に見えるがんを消すこと)に成功したということになります。
もし、細胞診断や組織診断でがんが残存していれば、画像診断で問題なしとなっても「治療が終わった」と安心できません。子宮頸部ではがんの範囲が広がっていることが多いので、がんが残存しやすいという特徴もあります。
子宮頸部にがんの残存がある場合
放射線治療の効果はゆっくり進むので、画像診断で特に何も見つからなけば、さらに数か月待って、再度細胞診断や組織診断をします。そして、陽性が続けて出れば治療の効果はじゅうぶんでないと判断され、子宮を準広汎子宮全摘術によって摘出することが提案されます。
放射線治療をすると、子宮頸部に尿管が引っ張られるようになります。そのため子宮頸部から膀胱までの尿管を包む膀胱子宮靭帯を切除して、子宮を摘出することになります。なお、画像診断でリンパ節への転移が確認されなければ、骨盤リンパ節は郭清(かくせい。切除すること)しません。
子宮頸部のがんは根治できたが、骨盤リンパ節に転移の疑いがある場合
まず、長径3cm以上の転移リンパ節に放射線を当てて治療することはできないので、照射前にあらかじめ切除しておくのが一般的です。
2cm以下の骨盤リンパ節転移が確認され、放射線治療で対応可能と判断したのに、照射後、次第にそのリンパ節が腫れ、がんの残存と増悪が確認された場合は、すぐに手術をせずに化学療法が2~3回行われます。
その後、画像診断でリンパ節の転移部が縮小し、新たにがんが現れることもなければ、対象となるリンパ節を切除します。
以上、子宮頸がんの放射線治療についての解説でした。