
子宮頸がんの症状とセルフチェックの重要性
子宮頸がんは、初期段階では自覚症状がほとんどないことが特徴です。そのため、症状に気づいた時点ですでに進行していることも少なくありません。このため、定期的な検診とともに、日常的なセルフチェックが早期発見につながります。
子宮頸がんと子宮体がんは異なる疾患ですが、どちらも不正出血が主な症状として現れます。ただし、子宮頸がんの場合は、がんになる前の段階である異形成(いけいせい)の時期には、ほぼ症状が出ないという特徴があります。
本記事では、子宮頸がんが疑われる症状について、発覚のきっかけとなる初期症状から進行した状態までを詳しく解説します。読者の皆さんが自身の体調変化に気づき、適切なタイミングで医療機関を受診する判断材料としていただければと思います。
子宮頸がんの初期症状|気づきにくい理由とは
異形成段階では症状がない
子宮頸がんは、正常な細胞から突然がんになるわけではありません。多くの場合、異形成という前がん状態を経てがん化します。この異形成の段階では、自覚症状がまったくないため、検診を受けない限り発見されることはありません。
異形成は軽度・中等度・高度の3段階に分けられますが、いずれの段階でも痛みや出血などの症状は現れません。これが子宮頸がんの早期発見を難しくしている大きな理由です。
ごく初期のがんも症状が乏しい
異形成からがん化した直後の、ごく初期のがんでも、多くの場合は自覚症状がありません。子宮頸部に小さながんができている状態でも、日常生活に支障が出ることはなく、痛みや違和感もほとんど感じられません。
この段階では、肉眼で見てもはっきりとした変化がわからないことが多く、コルポスコープ検査という特殊な拡大鏡を使った検査でようやく異常が確認できる程度です。
子宮頸がんの発覚きっかけとなる症状チェックリスト
子宮頸がんの症状は、がんの進行度によって大きく異なります。以下の表は、進行段階別の主な症状をまとめたものです。
| 進行段階 | 主な症状 |
|---|---|
| 異形成(前がん状態) | 自覚症状なし |
| ごく初期のがん | ほぼ症状なし、性交時出血が起こることがある |
| 早期がん | 不正出血、性交後出血、おりものの変化 |
| 進行がん | 持続的な不正出血、下腹部痛、腰痛、排尿障害 |
| さらに進行した状態 | 痛み、発熱、血尿、血便、足のむくみ |
性交時出血が最初のサインになることが多い
子宮頸がんで最も早く現れる可能性のある症状が、性交時または性交後の出血です。子宮頸部にがんができると、その部分の粘膜が脆くなり、わずかな刺激で出血しやすくなります。
コルポスコープ検査で子宮頸部を詳しく観察すると、腫瘍化が始まっている部分は正常な粘膜に比べて出血しやすい状態になっていることが確認できます。性交時以外でも、排便時にいきむことで出血することがあります。
不正出血の特徴と見分け方
子宮頸がんによる不正出血は、月経以外のタイミングで起こる出血を指します。ただし、閉経前の女性の場合、月経不順による出血なのか、がんからの出血なのかを自分で区別することは困難です。
以下のような出血があった場合は、婦人科を受診することを検討してください。
- 性交後に毎回または頻繁に出血する
- 月経期間以外に出血がある
- 月経の周期が不規則になり、出血量が増えた
- 閉経後に出血がある
- 排便時にいきむと出血することがある
おりものの変化から気づく子宮頸がんの症状
正常なおりものとの違い
子宮頸がんが進行すると、おりものに変化が現れることがあります。正常なおりものは透明から白色で、臭いもほとんどありません。しかし、がんができると以下のような変化が見られることがあります。
- おりものの量が明らかに増える
- 色が茶色っぽい、ピンク色、黄色っぽくなる
- 血液が混じっている
- 悪臭がする
- 水っぽい、または粘度が変化する
感染症との区別
おりものの変化は、がん以外にも膣炎や子宮頸管炎などの感染症でも起こります。そのため、おりものの異常だけでがんと判断することはできません。
ただし、抗生物質などの治療を行っても改善しない、または繰り返しおりものの異常が起こる場合は、より詳しい検査が必要になることがあります。
子宮頸がんが進行したときに現れる症状
腫瘤や潰瘍による症状
子宮頸がんが進行すると、子宮頸部のいくつかの部分に腫瘤(こぶのようなもの)や潰瘍ができてきます。この状態になると、それらの病変部から出血が起こりやすくなります。
腫瘤や潰瘍からの出血は、排便時にいきむことや、日常的な活動によって誘発されることがあります。出血量も増え、頻度も高くなる傾向があります。
子宮の閉塞による症状
がんの進行により子宮の入り口が閉塞すると、子宮腔内に分泌物や膿汁(うみ)がたまることがあります。この状態になると、以下のような症状が現れます。
- 下腹部の痛みや重苦しさ
- 発熱
- 感染症のような症状
- 悪臭を伴うおりもの
周囲臓器への広がりで生じる症状
骨盤内への進展
がんが子宮頸部から周囲に広がり、骨盤内の組織に達すると、さまざまな症状が現れます。この段階では、がんはかなり進行した状態といえます。
| 影響を受ける部位 | 現れる症状 |
|---|---|
| 膀胱 | 頻尿、排尿時痛、血尿、尿が出にくい |
| 直腸 | 便秘、排便時痛、血便、便が細くなる |
| 尿管 | 腰痛、腎機能低下、水腎症 |
| 神経 | 下腹部痛、腰背部痛、下肢痛 |
| 血管・リンパ管 | 足のむくみ、静脈瘤 |
リンパ節転移による症状
子宮頸がんがリンパ節に転移し、そのリンパ節が腫大すると、周囲の神経や血管を圧迫することがあります。この圧迫によって、以下のような症状が生じます。
- 腰背部の痛み
- 下肢の痛みやしびれ
- 足のむくみ(浮腫)
- 静脈の拡張
これらの症状が現れている場合、がんは進行期にあると考えられます。
子宮頸がんの症状が出たときの対応
すぐに受診すべき症状
以下の症状がある場合は、できるだけ早く婦人科を受診することが推奨されます。
- 閉経後の不正出血
- 性交のたびに出血する
- 悪臭を伴うおりものが続く
- 下腹部痛が持続する
- 血尿や血便がある
- 原因不明の発熱が続く
検診の重要性
先述のとおり、子宮頸がんは初期段階では症状がほとんどありません。したがって、症状の有無にかかわらず、定期的な子宮頸がん検診を受けることが早期発見の鍵となります。
日本では20歳以上の女性を対象に、2年に1回の子宮頸がん検診が推奨されています。検診では、細胞診という検査で子宮頸部の細胞を採取し、異常がないかを調べます。
症状から考える受診のタイミング
月経不順との区別が難しい理由
閉経前の女性の場合、月経周期の乱れによる出血と、がんによる出血を区別することは容易ではありません。ストレス、ホルモンバランスの変化、生活習慣の変化などでも月経不順は起こります。
しかし、以下のような場合は、単なる月経不順ではない可能性を考慮する必要があります。
- これまで規則的だった月経が突然不規則になった
- 出血量が以前と比べて明らかに増えた、または減った
- 月経以外の出血が月に何度も起こる
- 出血とともに下腹部痛がある
様子を見てよい場合と受診すべき場合
一時的なホルモンバランスの乱れによる不正出血であれば、1〜2周期で自然に改善することもあります。ただし、以下に該当する場合は、様子を見ずに婦人科を受診することを検討してください。
- 2〜3か月以上不正出血が続く
- 出血量が増えている
- おりものの異常も伴っている
- 痛みや発熱がある
- 前回の子宮頸がん検診から2年以上経過している
子宮頸がんのセルフチェックの限界
自己判断の難しさ
不正出血やおりものの変化は、子宮頸がん以外の多くの婦人科疾患でも起こります。例えば、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮頸管ポリープ、膣炎なども同様の症状を引き起こすことがあります。
また、前述のとおり初期の子宮頸がんは症状がないため、「症状がないから大丈夫」と判断することもできません。したがって、セルフチェックだけでは不十分であり、定期的な医療機関での検査が不可欠です。
検診と症状観察の両立
子宮頸がんの早期発見には、以下の2つのアプローチを組み合わせることが効果的です。
- 定期的な子宮頸がん検診を必ず受ける
- 日常的に自分の体の変化に注意を払う
検診だけでなく、日々のセルフチェックで異常に気づいた場合は、次の検診を待たずに受診することで、より早期の発見につながる可能性があります。
まとめ|症状チェックと検診の重要性
子宮頸がんは、異形成という前がん状態から徐々に進行する疾患です。初期段階では自覚症状がほとんどなく、症状が現れた時点である程度進行していることも少なくありません。
最も早く気づきやすい症状は性交時出血ですが、不正出血、おりものの変化なども重要なサインです。さらに進行すると、痛み、発熱、血尿、血便、足のむくみなど、周囲臓器への影響による症状が現れます。

