前立腺がんは、加齢とともにリスクが高くなる
前立腺がんには、他のがんとは違った特徴がいくつかあります。まず第一の特徴は進行がゆっくりな場合が多いこと。前立腺がんと診断されても、決して慌てることなく、自分に合った治療法をじっくりと選ぶことが大切です。ただし、一部には進行の速いがんもありますので油断は禁物です。
次に、高齢になればなるほど、つまり加齢とともに増えていくという特徴があげられます。今後、日本でも急速に増加するという予測には、日本の高齢化も関係しています。ホルモンバランスの変化が、がんの発生にかかわっているのではないかといわれていますが、くわしいことは解明されていません。
その他、先に述べた男性ホルモンとの深いかかわりや、骨に転移しやすいこと、かたまりをつくらずに散らばりやすいことなどが、前立腺がんの特徴となっています。
2020年には男性第2位のがん、との予測も
前立腺がんにかかっている人は、全世界では約万68人といわれ、男性のすべてのがんのなかでは、肺がんに次いで第2位になっているとの統計があります。世界の中でも地域差が大きく、たとえば西ヨーロッパの罹患率は日本の約5倍、北アメリカではなんと約10倍にもなります(世界人口を基準に年齢調整した2002年のデータによる)。
日本国内の調査では、前立腺がんにかかっている人は、人口10万人当たり1975年では7.1人、2001年には26.2人と、約3.7倍に増加しています(日本人人口を基準に年齢調整したデータによる)。
これは、男性のがんでは胃がん、肺がん、大腸がん、肝臓がんに次ぐ多さです。さらに2020年には、肺がんに次いで、男性のがんの2番めにまで増える、と予測されています。
同様に前立腺がんによる死亡者数、死亡率も増加を続けています。2001年からの6年間で比べても死亡者数は7645人から9525人となり、年間死亡者数1万人に迫っています。人口10万人当たりの死亡者数(死亡率)も、この間に12.4から15.5にまで増えています。
こうした増加傾向から、明らかな根拠はないものの、ライフスタイルの欧米化、とくに食生活の変化が発症とかかわっているのではないかと推測されています。
以上、前立腺がんに関する解説でした。