大腸がんと告知されたとき、まずは慌てずにがんがどこにできたのか、どんな治療が受けられるのかを冷静に把握することが大切です。手術ができるなら早いほうが良いといえますが、一般に大腸がんは進行がゆっくりなので、1~2週間は誤差の範囲だといえます。時間をかけて専門の信頼できる医師を探すことが大事です。
入院を決めるのはは専門医を受診して、信頼できると判断してからでも遅くありません。以前は何の連絡もなく入院を2~3週間待たせる病院も多かったですが、最近は理由も伝えずに待たせる病院は少なくなりました。
逆に、すぐ入院手術しないと命があぶない、とおどしたりする医師や病院は敬遠すべきだといえます。手術までには諸検査に1週間から10日は必要で、十分検査してから手術を受けることが大切です。インフォームド・コンセントの時代ですから医師と患者がきちんとがんについて同じ共通理解をし合意することが大切です。
いわゆる"名医"や有名大学教授の肩書はあまり信用になりません。確かに医学に功績があっても、医療行為については必ずしもそうではない、ということもあります。また、狭い一部門のスペシャリストがいても他部門はそうでもないことも多いです。有名大学の外科教授で胃の手術もできない"名医"がいたりします。さらに、大腸がん専門の教授は、多くはいません。
大学病院は医学研究や教育にすぐれていても、医療技術は二流、三流であることがしばしばです。医療技術やサービスは、おおむね大きな市民病院のほうが上である傾向があります。外科治療を受けるのに必要なのは、医学知識よりもすぐれた外科技術です。
大学教授が最高の治療を提供するというのは昔の話です。多額の謝礼金を渡して大学教授に頼んだと得意になるのは、まったく愚かなことだといえます。
また、病院を選ぶことも大切です。手術がうまく行われても、不測の余病や合併症が起こらないとは限りません。手術がきっかけでふだんの持病が悪化する、たとえば心臓がおかしくなることもあり、そのときに他科の専門医の応援が必要です。
大学病院は講座制、縦割制で教授の権威が強く、他科との連携がスムーズにいきにくいという風潮がながらく存在しています。大学病院にこだわらず総合病院も視野に入れて、専門性の高い病院を選ぶことが大切です。
以上、大腸がんの病院に関するお話でした。