がん専門のアドバイザー、本村です。
今回の記事は歴史的建造物の多い神奈川県内で、がん患者さん本人やご家族が癌の平癒、病気の平癒を祈願したり、お守りを購入したりするのに適したお寺、神社を紹介したいと思います。
そもそも、「癌封じ」とは何なのか
ふだん耳慣れない「癌封じ」という言葉。これはどんな意味を持つのでしょうか。
実は癌封じ=「(がんでない人が)がんにならないように願うこと」が本来の意味です。
なので「癌封じの祈祷」と「癌平癒(へいゆ。治ること)祈祷」を区別しているお寺もあります。
ですが、癌は再発や転移をする病気ですし「封じ込める」という意味合いは「治す」という意味に通じています。
ですので現在では「癌封じ」=「癌治療の成功を祈願したり、二度と再発や転移が起きないように封じ込める」=「癌が治るように祈願する」という意味だと理解して大丈夫です。
いっぽう、癌を含めた病気が治るように祈願することは、本来は「病気平癒の祈願」といいます。
病名を特に指定しなくても、病気全般に肺がん、肝臓がんなどの「癌」は含みますし、白血病や悪性リンパ腫などの血液系のがん、軟部肉腫なども含まれます。
まとめると「癌が治ることや、治療の成功を祈願したい」場合は、癌封じでもよいですし病気平癒でもよい、ということです。
神奈川県 癌封じで有名なお寺「上行寺」
県内で「癌封じ」といえば、よく知られているのが鎌倉市にある「上行寺」です。外観はとてもインパクトがあり、以下の建物が本堂です。
創建されたのが1313年とされており、歴史のあるお寺なのですが、個人的にはこういう感じが苦手です。
住職さんはいい人らしいですが、お賽銭を要求する老婆がいる、などの評判もあるのでこのお寺を進めたいとは思いません。
ですのでこの記事では他におすすめのお寺を1つと、神社を2つ挙げたいと思います。
神奈川県南足柄市 大雄山 最乗寺の癌封じ御守りと病気平癒の祈祷
伊豆箱根鉄道、大雄山線の終点が最寄り駅の「大雄山最乗寺(だいゆうざん さいじょうじ)」は南足柄市にある曹洞宗のお寺です。
1394年(室町時代中期)の創建と600年以上の歴史を持ち、曹洞宗の大本山である福井県の永平寺、鶴見の総持寺に次ぐ格式を持ちます。
全国的に有名なお寺ではないですが、広大な境内にいくつもの歴史的価値のあるお堂があります。お正月や紅葉のシーズンには大変な賑わいを見せるそうです。
気持ちが落ち着く美しいお寺で、癌封じのお守りも授与されているということで、実際に訪問してきました。
大きな杉の木が迎えてくれる参道。
本堂のある境内をパノラマで撮影するとこんな感じで、とても広く整備されているのが分かります。
癌や病気との関連
昭和9年に再建された「本堂」に祀られているのは、釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)。
釈迦(仏教の開祖)が出家した後の姿で、 苦悩する一切の衆生を救済する仏教の象徴的な仏です。
350段の石段を登り切った先にある「奥之院」には、十一面観音が祀られています。除災、除疫の仏であらゆる方向からの願いを聞き入れる仏といわれています。
奥之院にたどり着くにはこの階段を登る必要があります。
足腰に不安のある方や体調の優れない方は無理をしないようにしましょう。
金剛水堂にある霊水
この建物が金剛水堂。
最乗寺開山の際に掘った井戸から600年以上絶えることなく湧き出ているという水で「この霊水を飲む者の諸病を癒す」と伝えられているそうです。
「病気が癒される水」として特に地元の人には有名でペットボトル持参で参拝し、お水を汲んで帰る人がたくさんいました。
癌など特定の病気に関わる由来はないですが、このように厄除け、病気平癒、健康長寿に由来するものは数多くあります。
当病平癒の祈祷が受けられます
受付にご祈祷申し込みの用紙があり、当日にこちらで申し込めば祈祷を受けられます。願意は2つまで記入でき、癌と闘病されている方には「当病平癒」が適しています。
祈祷料は、お札をいただき祈祷をお願いする3,000円の普通祈祷と、最乗寺の御真殿の中で祈祷を受けられる10,000円、50,000円の特別祈祷があります。
御真殿は開祖である僧、道了が祀られている堂です(近代の建築家 伊東忠太氏の設計)。
普通祈祷は受付時間内であれば随時申込み可能。特別祈祷は9:30~11:30、13:00~15:00の時間帯で申込み可能で、30分ごとの祈祷になります。希望時間の10分~15分前までに申し込めば大丈夫です。
ただ、行事などにより祈祷できない日もあるため参拝日が決まっていれば念のため事前に問合せしておきましょう。
癌封じのお守り
御真殿の目の前にある社務所ではいくつものお札やお守りが販売されています。
この中に「癌封じ」のお守りもあります。
キノコががん予防に効果があると言われていることから、キノコの形をしたお守りです。赤と青の二色があり、価格は500円です。
最乗寺の住所と地図
住所:神奈川県南足柄市大雄町1157
最乗寺の営業時間、電話番号、最寄り駅、駐車場など
・営業時間(参拝可能時間):総受付は6:00~16:00、授与所は9:00~16:00。
・拝観料:なし
・電話番号:0465-74-3121
・最寄り駅:伊豆箱根鉄道大雄山駅
・バス:大雄山駅よりバスあり。道了尊まで10分。
・車でのアクセス:東名高速大井松田ICより20分。
・駐車場:無料駐車場あり。250台。
・階段:あり
癌封じのお守りが買える、最乗寺まとめ
最乗寺はこれぞ日本の美、といえる荘厳なお寺です。山の中にあることで凛とした雰囲気が強いです。
お寺としての格も高く、癌封じのお守りが購入でき、病気平癒の祈祷も受けられます。参拝だけしたい人も、本格的な祈祷を受けたい人にも適しています。
階段が多いので体調に問題がある人は厳しい、という点が唯一の難点ですが、お茶屋さんもあり紅葉や桜の季節はこの上ない景色がみれるので、観光がてらにご家族や夫婦で行かれるのに適したお寺だと思います。
神奈川県鎌倉市 身代わり絵馬、病気平癒守がある鎌倉宮
神社には古来より「格」があり、これを「社格」といいます。
※社格とは?
明治維新以降に神社を等級化した制度で、第二次世界大戦後に廃止されましたが今日でも「旧社格」などの名称で神社を表す目安とされています
格として一番上なのが「官社」で国から奉幣を受ける神社になります。官社の中でも最も上位なのが「官幣大社」という等級で島根の出雲大社、東京の明治神宮などがあります。なお、三重の伊勢神宮は「すべての神社の上にある」とされており、社格はありません。
神奈川県下で官幣大社に位置付けられた神社はありません。神奈川でもっとも社格が上の神社が「官幣中社」である鎌倉宮です。
鎌倉宮の近くには鶴岡八幡宮がありますが、社格だけでみると鶴岡八幡宮は「国幣中社」で鎌倉宮のほうが上に位置付けられています。
人それぞれ信じる神様や信仰は違いますので一概に上下を論じるのはよくないですが、どこに参拝しようかな?と検討する際の参考にはなると思います。
鎌倉で有名な鶴岡八幡宮との位置関係からみたほうが分かりやすいと思います。場所はこのあたりです。
鶴岡八幡宮から車で5~6分の距離で、バスも出ています。駐車場も隣接しており(料金は1時間400円)、休日は賑わうようですがメインの観光スポット、というわけではないので落ち着いた雰囲気のある神社です。
この日は写真を撮りたくて開場直後に訪れたので、あまり人のいない鎌倉宮の風景を収めることができました。
広さは小学校の運動場くらいでしょうか。綺麗に整備されて緑も多くて気持ちのよい雰囲気でした。
入ると鎌倉宮に関する説明書きがありました。後醍醐天皇の子、護良親王(もりちかしんのう)を祭神とする神社、と記載されています。活発でパワフルな方だったと伝えられているうえ、お名前に使われている字が「護良」というのもお守りにはいいなぁ、と思いました。
鎌倉宮で有名な厄除け「厄割り石」
鎌倉宮で有名と聞いていた「厄割り石」。私もやってきました。
厄割り石に関する説明書きには「毎日の生活の中で、知らず知らずの内に受けた「厄(悪いもの)」をお祓いしましょう。鎌倉宮の御祭神・大塔宮護良親王は、若々しく強いお方で、厄を祓い清める神様です。」と書かれています。
やり方は以下のとおりです。
1.「かわらけ」に息を吹きかけ、自分の中にある厄をのせます。
2.「厄割り石」をめがけて、「かわらけ」を投げ、厄を割ります。
3.割れなかったら割れるまで続けます。石をしっかり見つめて投げるのがコツです。
お皿を投げる、というのは意外に難しく、一投目で割ることができませんでしたが二投目でしっかり割れました。このような他にはないお祓いの仕方があるのはいいですね。
がん治癒、病気平癒を願うために
鎌倉宮にがん患者さんが多く訪れる理由は、病気平癒につながる願い事や祈祷などができる点にあります。
身代わり絵馬
「村上彦四郎義光公に身代わりの願い事を届けましょう」と記載があります。村上彦四郎義光という人は鎌倉時代の武将で、護良親王に忠誠を誓った部下です。
当時、護良親王軍は幕府軍と戦をしており、幕府軍に攻め込まれた親王の身代わりとなり、敵の前で切腹したという逸話があります。それが「身代わり絵馬」の由来です。
ひとこと願い串
拝殿のお賽銭箱の近くに「ひとこと願い串」があります。ここに願い事を書いて納めることができます。
病気平癒、身体健勝のご祈祷
10時から祈祷の受付をしています。祈祷料は5,000円です。
獅子頭守、板獅子守などのお守り
護良親王が戦地に行くとき「兜の中に獅子頭のお守りをしのばせていた」言い伝えがあり、鎌倉宮の特徴的なお守りとして創建当初から授与されています。
獅子頭は古くから「厄(悪いもの)を食べ、幸せを招く」と言われています。今では「厄除け・幸運招来・交通安全・身代り」などの願いを叶えるお守りとされています。
その他、通常の病気平癒のお守りやお札も授与所で購入することができます。
鎌倉は観光にもよいですし、寺社仏閣が近隣に多くあり、周辺を散歩しながら様々な歴史に触れることができます。患者さん自身のお参りや、家族、友人知人の方がお見舞いのためのお守りを購入する場所としても閑静な鎌倉宮はおすすめです。
神奈川県茅ヶ崎市 癌封じお守りがある鶴峰八幡宮(つるみねはちまんぐう)
鶴峰八幡宮は源氏に関わりが深い神社です。
源氏が関東へ進出する際に創建した最初の氏社(うじやしろ。氏神を祀る神社のこと。氏族の祖先やゆかりのある神を祀る社)といわれています。
1000年近くの歴史を持つ神社であり、祭神は応神天皇、仁徳天皇、佐塚大神です。神社の格を示す「旧社格」では「郷社(ごうしゃ)」であり、府県・市から奉幣を受ける神社になります。
なお、1969年に参道の松並木が茅ヶ崎市の史跡・天然記念物に指定されており、観光名所としても知られています。
病気やがんとの関連
鶴峰八幡宮の支社(分社という意味)である、淡島神社が同じ境内にあります。この淡島神社の祭神が「少彦名命(すくなびこなのみこと)」です。
少彦名命は日本古来の神話「古事記」に登場する神であり、まじないなどの多彩な能力を有したとされ、日本医薬の神といわれています。
少彦名命を祀る神社は国内に多くあり、大阪の道修町にある少彦名神社が有名です(周りには医療関係の会社がとても多い)。
病気平癒や健康を祈願する人は、この淡島神社を訪れて祈願するとよいと思います。
癌封じの祈願石
淡島神社の右手に「癌封じの石」があります。
この石はがんをはじめ難病を癒す霊石とされ、石と体の悪いところを交互にさすり「祓えたまえ、清めたまえ」と三回念じると願いが叶うとされています。
病気平癒の祈祷も可能
本堂では病気平癒の祈祷を受けることができます。初穂料(料金)は1件5,000円より。申し込みは予約が必要です。3日前までに連絡をしましょう(0467-82-6725)。
癌封じのお守り
箱に入った立派な「癌封じ御守」があります。
初穂料は1,000円です。
この御守の説明書きにも少彦名命について記載されています。
なお、こちらにも「かわらけ投げ」があります。
あまり他の神社ではみないのですが、神奈川の神社には多いのでしょうか・・・。
【所在地】
神奈川県茅ケ崎市浜之郷462
無料の駐車場があります。
遠くて行けない・・・という人には通販で買える癌封じ
癌封じのお守りを通信販売で届けてくれるところもあります。詳しくはこちら。