がん専門アドバイザーの本村です。
この記事では、沖縄県内で癌封じの祈願ができたり、お守りが購入できる神社、お寺があるか、と探している方に適した寺社を紹介しています。
まず、言葉の意味として「癌封じ」とは、癌と診断されていない人が「癌にならないように願う」ものです。
再発や転移が起きないように願う、ということもあるため、闘病中の人が癌封じの祈願をすることは間違いではないですが、癌をはじめ病気が治ることを祈願したり、手術などの治療が成功することを祈願したりする場合は「病気平癒(へいゆ)」という祈願項目が適しています。
ですので、癌封じにこだわらなくとも、病気平癒や健康長寿にゆかりの深い神社やお寺に参拝するのがよいです。
沖縄県は、自然信仰や、海のかなたに神々がいるとする「ニライカナイ信仰、祖霊信仰などが根付いており、祈りの拠点である御嶽(うたき。斎場御嶽、漲水御嶽などが有名)が点在しています。
歴史の成り立ちも本土とは大く異なることもあり、中国や本土で古くから信仰された仏教はほとんど根付かず、神道の拠点である神社も数十社しかありません。
癌という特定の病気にゆかりのある神社はないですが、それでも病気平癒や健康長寿に関連のある神社はありますので、以下に紹介します。参拝の参考になればと思います。
沖縄県那覇市 波上宮の病気平癒祈願とお守り
波上宮(なみのうえぐう)は、沖縄県で最も参拝客が多い神社です。
琉球八社(明治以前琉球国府から特別の扱いを受けた八つの官社)の筆頭でもあり、その中でも唯一社格を持つ神社です。(波上宮は官幣小社。その他の神社は無格社)
※社格とは?
明治維新以降に神社を等級化した制度で、第二次世界大戦後に廃止されましたが今日でも「旧社格」などの名称で神社を表す目安とされています
格として一番上なのが「官社」で国から奉幣を受ける神社になります。官社の中でも最も上位なのが「官幣大社」という等級で島根の出雲大社、東京の明治神宮などがあります。なお、三重の伊勢神宮は「すべての神社の上にある」とされており、社格はありません。
波上宮には沖縄県神社庁の事務所が置かれ、沖縄の総鎮守として沖縄における神道の活動拠点の一つとなっています。
古来、この場所はニライカナイへ祈りを捧げる聖地だったそうで、本殿のさらに奥には御嶽(うたき)もあります。
古くからの聖地に神社が建てられ、その後は薬師如来などの仏像も祀られていたと記録があります。琉球国が日本になっていく過程や戦争などもあり、創建の由来から現在に至るまで複雑な経過のある神社です。
現在は名実ともに沖縄で一番の神社と言え、とても有名な神社で地元の人からも「なんみんさん」として親しまれています。
癌や病気との関連
波上宮は熊野信仰(和歌山の熊野三山を神とする信仰)の神社です。なぜそうなったかは霊石による神託とされ謎ですが、実際に主祭神は熊野信仰に通じており以下の三柱です。
伊弉冉尊 (いざなみのみこと)
速玉男尊 (はやたまをのみこと=いざなぎ)
事解男尊 (ことさかをのみこと)
上記の三柱の一柱である速玉男尊(=いざなぎ)は古事記などの日本神話のなかで、日本の国土をつくり、多くの神々を生み出した、とされている「神の神」のような存在といえます
また、奈良時代の神仏習合により神=仏として祀るようになりましたが、その神仏習合において速玉男尊は薬師如来とされています。
かつて波上宮で薬師如来が祀られていたと記録されていますが、それは祭神に関連しており、理由もなく祀られていたわけではない、ということです。
なお、薬師如来とは「民の病患を救うという如来=薬壺を持ち病気を治す仏様」であり、ひとことでいうと医薬の仏です。
さらには波上宮では相殿神として少彦名命(すくなひこなのみこと)が祀られています。
少彦名命は日本神話における医薬の神です。まじないなどの多彩な能力を有したされ、「薬祖神」として古来より篤く信仰され、病気平癒の祈願の対象となってきました。
東京や大阪には少彦名命を主祭神として祀る神社(東京には五條天神社、大阪には少彦名神社)もあり、これらは病気平癒の神社として今も多くの人が参拝しています。
熊野信仰の神徳は幅広いとされ、波上宮も厄除けや縁結びなどで知られていますが、実は病気平癒にはとても深いつながりのある神社だといえます。
癌が治ることや治療(手術や抗がん剤、放射線)の成功を祈願するには、沖縄県で最も適した神社だと思います。
病気平癒の祈願を受けることができます
波上宮では、個人向けの祈願(祈祷。神社における正式な参拝方法であり、神職によるお祓いをうけて願意を伝えること)を受けることができます。
癌闘病中の場合は、健康祈願あるいは病気平癒の祈願を選ぶのがよいです。
多くの神社では当日申し込めば受けられますが、波上宮では事前確認が必要です。波上宮の社務所まで問い合わせし、いつ受けられるか確認しましょう。
●病気平癒のお守りがあります
祈願を受ければ、その後にお札やお守りをもらうことができますのでお守りを購入しなくてもよいと思いますが、二拝二拍一拝の参拝だけを行う場合は、授与所で病気平癒守を購入することができます(500円)
波上宮の住所と地図
住所:沖縄県那覇市若狭1-25-11
波上宮の営業時間、電話番号、最寄り駅、駐車場など
・営業時間(参拝可能時間):年中無休。社務所受付時間は9:30~17:00
・電話番号:098-868-3697
・最寄り駅:ゆいレール旭橋駅より徒歩約15分
・車でのアクセス:那覇空港から車で15分
・駐車場:無料駐車場あり。(20台)
波上宮のおすすめ度:B。【A>Eの5段階】
沖縄で一番の神社で祭神も病気平癒にゆかりがある、という点ではとてもよいですが、観光名所化しており平日でも外国人観光客で多くの人が訪れます。
参拝するだけならよいですが、祈祷も受けたいという人には、そのシリアスな気持ちと雰囲気が合わないかもしれません。
沖縄県那覇市 安里八幡宮への参拝
安里八幡宮(あさとはちまんぐう)は琉球八社の一つであり、八社の中では唯一祭神が異なります。
第15第天皇、応神天皇(おうじんてんのう=誉田別尊(ほむだわけのみこと))を主祭神とする「八幡信仰」の神社であり、そのため八幡宮という名がついています。
安里八幡宮は、第七代尚徳王により、1466年に創建された歴史ある神社です。
鬼界島(喜界島)に攻め込み、勝利したことを「八幡大菩薩の賜り」と感謝し、その記念として安里八幡宮を造った、といわれています。
社殿は戦火で焼失しましたが、その後1962年に再建されたものです。保育園と境内が隣接している小さな神社になります。
癌や病気との関連
戦勝したこと記念に造られた、という由来にもあるように、応神天皇は古来より軍神として信仰されてきました。
しかし戦後になると文化殖産、縁結びなど日常生活に根ざした諸願成就(しょがんじょうじゅ)の神へと変化していきました。
100歳まで生きられたとされ、長寿の神ともされています。
癌など特定の病気との関連はないですが、厄災である「悪病、疫病除け」にも神威があるとされており、健康長寿、病気平癒のご利益もあるといわれています。
安里八幡宮の住所と地図
住所:沖縄県那覇市安里3-19
安里八幡宮の営業時間、電話番号、最寄り駅、駐車場など
・営業時間(参拝可能時間):24時間
・電話番号:098-863-8716
・最寄り駅:牧志駅、安里駅より徒歩7分
・駐車場:なし
・階段:あり
安里八幡宮のおすすめ度:D。【A>Eの5段階】
あえて波上宮以外で挙げるなら、応神天皇が祀られている安里八幡宮になりますが、境内にあるのは社殿だけで宮司さんも不在、社務所もありません。
祈願を受けたりお守りを購入したりすることができず、手を合わせる参拝だけ、となります。近くに寄った際は参拝してよいと思いますが、遠路はるばる訪れる、という神社ではないのであくまで参考までに掲載、という形です。