がん専門のアドバイザー、本村です。
多くの患者さんをサポートするなかで「癌封じのお参りをしたい」「手術の成功祈願をしたい」「闘病している人にお守りをプレゼントしたい」というメールをいただくことがあります。
適当なところを紹介するわけにはいきませんので、色々な寺社仏閣を調べたり、足を運んだりしています。
今回は三重県のお寺、神社についてです。2つのお寺、1つの神社を挙げたいと思います。まずお寺については以下の2つがあります。
三重県志摩市 大慈寺(だいじじ)の癌封じ
志摩の海のそばにある大慈寺は1590年に創建された400年以上の歴史がある臨済宗のお寺です。
地元では「あじさい寺」として親しまれ、6月にはあじさい祭りも行われています。境内だけでなく、周辺にもたくさんのあじさいがあることでこの時期は観光客で賑わっているようです。
また、最近では「志摩地方の七福神・封じ寺巡り」が人気です。以下の4つのお寺をめぐることで、七福神のご利益、病気封じのご利益を受けることができる、という形になります。
お寺の名前 | 七福神 | 病気封じ |
法雨山 大慈寺 | 弁財天と布袋尊 | がん封じ、足腰弱り止め |
神護山 仙遊寺 | 大黒天と毘沙門天 | ぼけ封じ |
正宝山 本福寺 | 寿老人と福禄寿 | 中気封じ |
青峯山 正福寺 | 恵比寿神 | 厄災封じ |
つまりこれら志摩にある4つのお寺を巡礼することで、七福神と多くの病気封じを祈願することができる、ということになります。
巡礼の証として七福神朱印色紙、四天王病封じ朱印色紙(各一枚2000円)などがあるので、観光がてらに大慈寺だけではなく他のお寺に参拝するのもよいですね。
四天王病封じ朱印色紙には「がん封じ祈願所」として大慈寺の名が記載されています。
大慈寺の癌や病気との関連
大慈寺には癌や病気との縁が深い神仏が祀られています。
大慈寺に祀られている七福神は、「弁財天(べんざいてん)」と「布袋尊(ほていそん)」ですが、大慈寺の布袋尊は「さすり布袋」とされ、身体の悪いところをさすると健康祈願にもなる、といわれています。
また、本尊として祀られている仏像は「ねがい千手観音」です。
こちらの千手観音は、平成元年に、先代住職の奥様によって祀られるようになった、ということです。
35歳のときに乳がんを発病され、観音様に祈願して平癒したことから、68歳のときにこの「ねがい千手観音」を大慈寺の本尊として迎え、祀られるようになったそうです。
その後91歳まで生きられたことから、癌の平癒、病気平癒にご利益がある仏様として知られるようになり、特に乳がんの患者さんが多く参拝されているようです。
なお祭壇には、中国の医薬の神とされている「神農」の木像があります。
「ねがい千手観音」とあわせて、腫れもの封じ(癌封じ)、健康祈願を願う対象仏とされています。
癌封じのお守り
「志摩 大慈寺 悪病退散 がん封じ御守」と書かれたお守りが購入できます。
患者さんへのプレゼントとしてはこちらの御守や朱印色紙が喜ばれると思います。
【所在地】
三重県志摩市大王町波切409
無料の駐車場あり。
三重県津市 寶珠山大観音寺の神獣白澤(癌封じの神)
津市の榊原温泉近くにある「寶珠山大観音寺(ほうじゅざんだいかんのんじ)」。
昭和57年に開かれた、真言宗のお寺です。
近くから見た景色はこんな感じで、通常の厳格なお寺とは違い、いくつかの大きな仏像が屋外に鎮座しています。エキセントリックな雰囲気で隣接するルーブル彫刻美術館とあわせて観光名所的なスポットといえますね。
大観音寺の本尊は純金の金箔で全身を覆われた「純金開運寶珠大観世音菩薩」。
純金の量は約1トン。高さは33メートルの日本でも類をみない黄金の大きな仏像です。
境内(敷地内)には、マイクを手にしたカラオケ観音、カエルのオーケストラなどかなり多くの仏像や石像、オブジェがあります。
癌や病気との関連
中国古来の神獣「白澤(はくたく)」の像があります。
神話の中に登場する架空の神獣とあって、見たことのない異形ですが、その恐ろしさから病魔を防ぐと信じられていたため、中国では白澤に関するものを身近に置く風習も残っているそうです。
もっとも大きな難病といえる癌をも退治できる、ということで「ガン封じの神様」として鎮座しています。前にはお賽銭箱があるので訪問されたらお参りしてみましょう。
毎月28日に実施される護摩祈願で病気平癒
28日に除災招福と諸願成就を祈願し「柴燈大護摩供」が行われます。
仏教における「護摩」とは、天台宗や真言宗など密教といわれる流派で行わる祈願のやりかたです。
願い事を書いた護摩木を供物として炎をおこし、炎=仏の智慧によって護摩木に書かれた願い事が叶うように祈ります。
大観音寺では、訪問せずともこの柴燈大護摩供をお願いすることができます。
祈願する内容(病気平癒、など)と住所・氏名・年令・職業を記入し、一祈願あたり1,000円で書留、あるいはメールで申し込むことができます。
祈願内容はお寺で護摩木に写してもらうことができ、護摩供養を行う時の護摩木として焚かれます。
【所在地】
三重県津市白山町佐田1957
無料の駐車場あり。大観音寺参拝だけなら大人800円。ルーブル彫刻美術館とセットで2,000円の料金が必要です。
参拝可能時間は9:30~17:00。
三重県伊勢市にある伊勢神宮で病気平癒祈願
そもそも「癌封じ」という言葉は「がんにならないこと」を願う祈願になります。
癌を治すことを願う、という場合は厳密には「癌平癒」という言葉を使います。
ただし現在は「癌封じ」という言葉のほうが一般的で、その解釈が少し広まり、「再発を防ぐ」「転移を防ぐ」「もう二度とがんにならない」ことを祈願する意味も含むようになりました。
ですので「癌封じ」イコール、がんを治すことやがんに関する治療(手術、抗がん剤、放射線など)が成功する祈願だととらえて大丈夫です。
そして、一般的に癌を含む病気が治ることを祈願することは「病気平癒」の祈願が一般的です。
ですので、がん闘病に関して祈願したり、お守りを授与してもらったりするうえでは、「癌封じ」にこだわらずとも、病気平癒のご利益があると言われるお寺、神社へ参拝することでじゅうぶん目的は達成されるわけです。
となると、三重県で病気平癒を願うなら伊勢神宮を外すわけにはいきません。
神社には「社格」といわれる格付けがあります。
※社格とは?
明治維新以降に神社を等級化した制度で、第二次世界大戦後に廃止されましたが今日でも「旧社格」などの名称で神社を表す目安とされています
格として一番上なのが「官社」で国から奉幣を受ける神社になります。官社の中でも最も上位なのが「官幣大社」という等級で島根の出雲大社、東京の明治神宮などがあります。なお、三重の伊勢神宮は「すべての神社の上にある」とされており、社格はありません。
伊勢神宮で首脳会議(サミット)が行われたのは、伊勢神宮が社格では一番上の(すべての神社の上にくる)存在だからです。
制度としては社格制度は廃止されていますし、神の信仰は個人の信仰ですが、「病気が治ること」「癌が治ること」を神に祈願しにいくなら、日本で一番の神社に行くことをしない理由はない、ということですね。
なお、「伊勢神宮」とは通称であり、正式名称は地名の付かない「神宮(じんぐう)」です。
神宮の名を付けられる神社は、全国でも由緒ある神社に限られていますが、その中でも象徴的な存在であることが分かります。
三重県にお住まいの人や、近隣の方なら伊勢神宮参拝を最優先してよいと思います。
個人的には「あえて小さな癌封じを謳うお寺や神社を探さずとも、格式(社格や神階)を基準に由緒ある寺社を選び、そこへ病気平癒の祈願に行く。あるいはお守りを買う」ことをお薦めしています。
伊勢神宮とは
ポイントを少しだけ。
祭神は日本神話の最高神である「天照大神(あまてらすおほみかみ)」です。生まれながらの神で世界の隅々までその光で照らす統治者、といわれています。
日本書記によると、垂仁天皇(紀元年、西暦0年ころ)の4女である倭姫命(やまとひめのみこと)が天照大神の魂=八咫鏡(やたのかがみ)を鎮座させる土地を求め全国を旅している最中、伊勢に来たときに「この国にしたい」と天照大神が倭姫命に伝えたことから、伊勢に神宮を造ることになったとされています。
なお、伊勢神宮は1つの神社を指すのではなく、区域内にある125つの神社の総称です。
それでも中心的な存在はあり、それが「2つの正宮(しょうぐう)」です。正宮には「皇大神宮(内宮)」と「豊受大神宮(下宮)」があります。
その他14つの「別宮」、109つの摂社、末社、所管社があります。
神宮で病気平癒の参拝をするなら
参拝にあたっては私が「何がよいです」というのはおこがましいので、しきたりに従ったうえで自由にお参りされるのがよいと思いますのでポイントだけ。
祭神が祀られる「正宮」では個人的なお願いをしてはいけない、とされれています。
個人的なお願いをしたい場合は、祭神の魂(荒魂)が祀られている別宮(内宮では荒祭宮(あらまつりのみや)、下宮では多賀宮(たかのみや)」で祈願するのがよいと思います。
神のパワー(神威)が積極的に発せられる魂を荒魂といい、穏やかに発せられる神威を「和魂(にぎみたま)」といいます。
病気平癒を祈願する場合には病気を治すことに対して、荒魂のご利益を得るように参拝する、という意味になります。
なお、伊勢神宮は個人の願いを叶えるというよりも神に日頃の感謝を伝える場所だとされていますので、祈願の仕方としては、「病気や癌が治りますように」ではなく「私は病気、癌を治すためにこのような努力をします」など宣言する形がよいといわれています。
病気平癒の祈祷を受けることができます
内宮、下宮にはそれぞれ神楽殿があります。こちらで祈祷の申し込みができます。
伊勢神宮の祈祷は「皇室の弥栄」「国家安泰」「五穀豊穣」の祈願に加えて、個人のお願いを祈祷する、という形になります。もちろん病気平癒、身体健康の祈祷が可能です。
なお、祈祷には御饌(みけ)と御神楽(みかぐら)という2つの形があります。
一般的な祈祷の形式は御饌にあたります。お祓いのあと、神前に神饌(しんせん)供え、祝詞(のりと)を奏上することで願いごとを神に伝える、という進め方です。
御神楽は御饌にくわえて、雅楽の舞を奉納します。
それぞれ別に初穂料(料金)を納めます。
御饌は5,000~10,000円。御神楽は15,000~になります。
御饌を受けると神殿に捧げられていた神宮大麻(じんぐうたいま。神宮の神札)が授与されます。これは持ち帰って自宅でお祀りするとよいでしょう。
祈祷の受付時間は8:00~16:00です。最初の実施は8:30になります。事前予約は不要で、参拝時に内宮神楽殿か外宮神楽殿の「ご祈祷受付」で申し込むことができます。
お守り
内宮と下宮では授与されるお守りやお札が少し異なりますがほぼ同じです。
こちらが御守と守祓(まもりはらい。自分で用意したお守り袋などに入れます)。
持つ人の健康や幸せが祈願されています。闘病されている方へのプレゼントとしてもよろこばれると思います。
【所在地】
三重県伊勢市宇治館町1
周辺に専用駐車場がありますが週末や正月、お盆は混雑します。