がん専門のアドバイザー、本村です。
この記事では「愛知県内」で紹介したい2つのお寺、1つの神社について解説したいと思います。
日々、ご相談を受けるなかで、相談内容のほとんどは治療やメンタル的なものですが、最近は「癌封じの祈願に行ってみたい」「患者のために癌封じのお守りを買いたい」という相談を受けることも増えてきました。
その背景には、がん闘病の長期化があると思います。
告知以降、手術の成功や、手術からの回復を願う場合もあれば、抗がん剤など薬がきちんと効くように願うときもあります。
そして再発や転移がなどが起きないよう願うのは共通しています。
こうした状況の中で「癌に関するお参り」「病気平癒に関するお参り」をしたい、とご相談を受けるわけですが、適当なところを紹介するわけにはいきません。
お寺、神社も千差万別で「行ってみたら(寂れているなどして)残念だった」ということもよくあるので、できるだけ全国の寺社仏閣、有名なところをしっかり調べて紹介するようにしています。実際に足を運べるところは参拝に伺ったりしています。
ちなみに「癌封じ」というのは、本来は「がんにならないように祈る」という意味ですが、現在はがん封じの祈祷=がん平癒(治ること)を願う、再発しないように願うことと同じ意味と捉えて大丈夫です。
愛知県稲沢市 せんき薬師のがん封じ
こちらのお寺は、江戸時代初期に開かれたといわれる真言宗のお寺です。
正式には「日出山西福院せんき薬師」という名称で、一般には「せんき様」と呼ばれています。
がんや病気との関連
「せんき」とは「疝気」の意味で、中医学(漢方)では「下腹部の痛み」のことです。主に胃や胆嚢、腸の炎症、腰痛などがこれにあたる、とされています。
その他の説もあり、全身の筋や腺(せん)に関する病気も「せんき」に含まれるといわれています。
筋肉はあまりがんには関係ないですが、腺はがんとの関連が深く、肺がんや子宮頸がんなどには「腺がん」というタイプも実際に存在します。
せんき薬師創設の由来は、せんきの病気に苦しむ村人のために仏を祀り、祈願した結果、病から回復したことにあります。
そのとき祀った仏がせんき薬師の本尊の薬師如来の胎内仏(仏像の胎内に納められた小さな仏像)となっています。
薬師とはいくつかの願いを叶える仏のことですが、そのなかには「身心不調の病苦にある人々も、貧窮多苦の人々も、迷いを生ずる原因をすべて消滅させる願い」と「すべての人々の病苦を完治し除き、心身ともに安楽にするという願い」が含まれます。
そのため古来より病気平癒を願ったり、薬の効果を願ったりする対象であるわけです。
つまりこのお寺は、せんき(全身の腺や下腹部の病)の治癒を祈願する薬師(病気平癒や薬の神様とされる)を祀ったことから、「がん平癒を願うお寺」として親しまれるようになった、ということですね。
がんに関する祈祷
がん封じの祈祷、およびがん平癒祈祷が可能です。
祈祷には2つの方法があり、1回のみの「普通祈祷」と長期間ご祈祷する「特別祈祷」があります。
普通祈祷は初回3,000円(2回目以降2,000円)、特別祈祷は1週間の祈祷で5,000円、3週間で7,000円、1か月の祈祷で10,000円となっています。
毎週火曜日(祝日・縁日を除く)はお休みなので注意しましょう。
なお、遠方や入院中などで直接行けない人にはメール、FAXで祈祷の受付から祈祷の実施までしてくれるそうです。
人間だけでなく、わんちゃんなどのペット(主に犬や猫だと思われる)の祈祷もできるそうです。
がん封じのお守り
「がん封じがん平癒守」が授与されています。
ご志納料は500円。
名前のとおり、がんにならないことを願う「がん封じ」と、がんが治ることを願う「がん平癒」の二つの願いが込められたお守りです。これほどカラフルに種類が取り揃えられているのはここだけかと思います。
このお守りについては、なるべく身に付け、毎日患部等をさすってお祈りすることが推奨されています。正式な祈念方法は以下のように紹介されています。
お守りを肌身離さずお持ちください。ご病気の方は毎日お薬師様のご真言「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ」と唱えながら、お守りで患部や痛い所やツラい所を何度もなでて、健康回復をご祈念ください。
※真言(しんごん)とは「(仏の)真実の言葉、秘密の言葉」という意味です。
所在地
愛知県稲沢市大塚南3-28
薬師の北側に無料駐車場があります(43台駐車可能)。公共機関では参拝しづらい場所にあるため車で行くのがよいかと思います。
愛知県蒲郡市 無量寺(むりょうじ)の癌封じ祈願
平安時代に創られた由緒ある古い寺です。無量寺と名前がつくお寺は神奈川や和歌山にもありますが、こちらは蒲郡市のパンフレットでも「通称 ガン封じ寺」と紹介するほど、がん封じ、がん平癒の祈祷寺として地元では有名です。
周辺に高さ20mの「日本大雁塔」があるなど、観光名所としても多くの人が訪れる場所となっており、近くの道路の電信柱には「ガン封じ寺」の青い看板がたくさん取り付けられています。
広い駐車場もあり、大型の観光バスが乗り入れ、日々賑わいをみせるお寺です。
無量寺に祀られているのは不動明王で、日本では「お不動さん」などとも呼ばれます。
国内で有名なのは三不動と呼ばれる滋賀の園城寺、京都の青蓮院、和歌山・高野山明王院の不動明王で国宝や重要文化財に指定されています。
さて、不動明王は薬師のように直接的に病気や薬に関連した存在ではなく、悪を絶ち仏道に導くことで救済する役目を担っていることから怖い顔をしています。
そこから日本では「疫病退散の守護神」として信仰をあつめてきたという由来があります。
がんや病気平癒との関連
無量寺の不動明王に疫病退散を強く願った信者のがんが消えた、というご利益があったと伝えられて以来、このお寺はがん封じにご利益があり、がんにならないことや、がんの平癒を願う多くの人が参拝するようになったようです。
がんに関する祈祷と「癌封じ祈願」の絵馬
3,000円でがん封じの祈祷をしてもらうことができます。お坊さんがお経を読み、申し込まれた人の名前を呼び、真言を唱えるという祈祷です。
祈祷の後にお札、お守り、お箸(ガン封じ箸)をもらえます。
また本堂手前では「癌封じ祈願」と書かれた絵馬(500円)を購入することができます。
住所、氏名、年齢を記載し、がんのある体の部分に黒いしるしをつけて預けると本堂に並べられ祈願してもらえます。その後絵馬は奉納され、これを「絵馬掛け」といいます。
掛けられる場所によってがんに対する祈願が異なり、「ガン予防祈願」「再発防止祈願」などがあります。
がん封じのお守り
西浦不動、ガン封じ寺 無量寺と書かれたお守り。500円で授与されています。
がんに関する説法
住職による「癌予防の心得」の説法があることも有名で、内容としては「たばこを吸い過ぎない」「脂肪分を摂りすぎない」などの主に食生活の注意事項をお話されるそうです。
なお、境内にはこのような看板も掲げられています。
養生の四要
一、腹を立てることをせず
一、心配ごとを少くし
一、言語を少くし
一、欲を好むのを少くす
所在地
愛知県蒲郡市西浦町日中30
駐車場(無料)があります。
愛知県名古屋市 熱田神宮の病気平癒祈願と快気守
神社には「社格」といわれる格付けがあります。
※社格とは?
明治維新以降に神社を等級化した制度で、第二次世界大戦後に廃止されましたが今日でも「旧社格」などの名称で神社を表す目安とされています
格として一番上なのが「官社」で国から奉幣を受ける神社になります。官社の中でも最も上位なのが「官幣大社」という等級で島根の出雲大社、東京の明治神宮などがあります。なお、三重の伊勢神宮は「すべての神社の上にある」とされており、社格はありません。
伊勢神宮で首脳会議(サミット)が行われたのは、伊勢神宮が社格では一番上の存在だからです。制度としては廃止されていますし、どの神を信じるかは個人の信仰ですが、伊勢神宮と町内にある小さな神社は同じではないのです。
愛知県内で最も社格が上に位置する神社は名古屋市にある熱田神宮(あつたじんぐう)です。愛知県に住む人で知らない人はいない・・・くらい有名な神社ですよね。
皇族と縁の深い神社を「神宮」と呼び、全国区に24宮ありますが熱田神宮はその1つであり、社格では最も上位の勅祭社・官幣大社に位置付けられている神社です。
日本の三種の神器である草薙剣(くさなぎのつるぎ)を祀る神社であることから、伊勢神宮に次いで権威ある神社として古来から栄えています。
日本神話の神の一柱である日本武尊(ヤマトタケル)が伊勢で亡くなったあと、妻である宮簀媛命は熱田に社地を定め、ヤマトタケルの剣=草薙剣を奉納したのが由来とされています。
戦国時代には織田信長が桶狭間の戦いの際に戦勝祈願した神社であることも有名で、日本の歴史の多くのシーンに深い関りを持ちます。
神様に癌の平癒、癌封じ、病気平癒をお願いしに行くなら、この神社を外すことは考え難い、という格式を持つ神社だといえます。
癌や病気との関り
癌という固有の病気との関りは特にないですが、境内にある19の小さな神社(末社)には医薬の神といわれる少彦名命(すくなひこなのみこと)を祀る内天神社があります。
現在の内天神社は社がなく門だけになりますが、本宮にお参りするとともに足を運ばれるとよいと思います(その他にも様々な神を祀る小さな神社がありますので関心のある神社にお参りするのがおすすめです)。
また熱田神宮では病気平癒の祈祷や、病気や健康に関するお守りも多く授与されています。
病気平癒の祈願
予約なしで個人の祈願を受け付けています。病気平癒の祈願も可能です。受付場所は授与所になります。
受付時間:8:30~16:00
初穂料: 6,000円から
病気や健康に関するお守り
快気守
これがいわゆる病気平癒(治癒)のお守りです。傷病平癒(治癒)、気力回復を祈願されたものです。「病」という字を中心に、封じること、(病が)去ること、癒されること、治ることを祈願されたお守りであることが分かります。
価格は1,000円です。
こころ守
不安や怖い気持ちが落ち着くようにと祈願された御守です。メンタル的な回復を支えたいと思うときはこのお守りもよいですね。ちなみに熱田神宮には「こころの小径(こみち)」といわれるスポットもあります。
価格は1,000円です。
【所在地】
愛知県名古屋市熱田区神宮1-1-1
合計400台駐車可能な専用駐車場あり。ただし正月や週末などには満車になることも多いそうです。
癌封じのお守りは欲しいけど遠くて行けない・・・という方へ
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