【レジメン】
Capmatinib(カプマチニブ)=1回400mg 1日2回:経口 連日投与 PD(増悪)まで
基本事項
【適応】
MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
【奏効率】国際共同第Ⅱ相試験(A2201/GEOMETRY mono-1試験、コホート4・5b)
<コホート4(化学療法歴あり)>
・奏効率(CR+PR)
40.6%
・無増悪生存期間(中央値)
5.42カ月
・全生存期間(中央値)
13.57カ月
<コホート5(化学療法歴なし)>
・奏効率(CR+PR)
67.9%
・無増悪生存期間(中央値)
12.42カ月
・全生存期間(中央値)
15.24カ月
【副作用】国際共同第Ⅱ相試験(A2201/GEOMETRY mono-1試験、コホート4・5b)
・末梢性浮腫:All Grade=51.5%、Grade3以上=12.4%
・悪心:All Grade=37.1%、Grade3以上=0.0%
・血中クレアチニン上昇:All Grade=25.8%、Grade3以上=0.0%
・嘔吐:All Grade=18.6%、Grade3以上=0.0%
・食欲減退:All Grade=15.5%、Grade3以上=1.0%
・疲労:All Grade=12.4%、Grade3以上=5.2%
・下痢:All Grade=11.3%、Grade3以上=0.0%
・ALT上昇:All Grade=10.3%、Grade3以上=7.2%
・AST上昇:All Grade=7.2%、Grade3以上=3.1%
・リパーゼ上昇:All Grade=11.3%、Grade3以上=8.2%
・間質性肺疾患:All Grade=6.2%、Grade3以上=5.2%
レジメンチェックポイント
①副作用に対する休薬・減量および中止基準の確認
<用量レベル>
・通常投与量:1回400mg(1日2回)
・1段階減量:1回300mg(1日2回)
・2段階減量:1回200mg(1日2回)
・中止:1回200mg(1日2回)で忍容不能な場合、投与を中止する
<副作用に対する休薬・減量・中止基準>
・間質性肺疾患:Grade1以上=投与を中止する
・ASTまたはALT増加かつ総ビリルビン増加:ASTまたはALT>3.0×ULNかつ総ビリルビン>2.0×ULN=投与を中止する
・ASTまたはALT増加:Grade3=Grade1以下またはベースラインに回復するまで休薬する。7日以内に回復した場合は同一用量で投与を再開する。7日を過ぎてから回復した場合は1段階減量して投与を再開する。Grade4=投与を中止する
・総ビリルビン増加:Grade2=Grade1以下に回復するまで休薬する。7日以内に回復した場合は同一用量で投与を再開する。7日を過ぎてから回復した場合は1段階減量して投与を再開する。Grade3=Grade1以下に回復するまで休薬する。7日以内に回復した場合は1段階減量して投与を再開する。7日以内に回復しない場合は投与を中止する。Grade4=投与を中止する
・上記以外の副作用:Grade2=管理困難で忍容不能な場合はGrade1以下に回復するまで休薬する。休薬後に投与を再開する際には1段階減量して投与を再開する。Grade3=Grade2以下に回復するまで休薬する。休薬後に投与を再開する際には1段階減量して投与を再開する。Grade4=投与を中止する
②併用薬の確認
・主にCYP3Aによって代謝されるため、CYP3A阻害薬(イトラコナゾール、リトナビル、クラリスロマイシン等)、CYP3A誘導薬(リファンピシン、カルバマゼピン等)の併用による血中濃度変化に注意する
・CYP1A2・P糖蛋白質(P-gp)・BCRP阻害作用を有するため、CYP1A2の基質となる薬剤(テオフィリン、チザニジン、ピルフェニドン等)、P-gpの基質となる薬剤(ジゴキシン、フェンタニル、タクロリムス等)、BCRPの基質となる薬剤(ロスバスタチン、アトルバスタチン、メトトレキサー卜等)の血中濃度を増加させて副作用を増強させる可能性がある。
・胃内pH上昇により吸収の低下が示唆されているため、プロトンポンプ阻害薬やH2ブロッカー等の併用でCapmatinibの血中濃度を低下させる可能性がある
副作用対策と服薬指導のポイント
①間質性肺炎
治療開始早期に急性肺障害、間質性肺疾患があらわれることがあるので、患者には初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱などの有無)を伝え、早期の医療機関への受診について指導する。
②体液貯留
末梢性浮腫や胸水貯留などの体液貯留が高頻度に認められるため、患者には急激な体重増加、呼吸困難等の異常が認められた場合は、速やかに医療機関に連絡するよう指導する。また、定期的な体重測定を実施して、記録を付けておくように指導する
③光線過敏症
非臨床試験において、光感作性の可能性が示唆されているため、光線過敏症が発現する可能性がある。服用中は日光や紫外線への曝露を最小限に抑えるよう患者に指導する