がん専門のアドバイザー、本村です。
ウコンは別名「ターメリック」です。カレー粉の主成分であり、さまざまな料理のスパイス、色付けに一般的に用いられています。
長年の食経験もあり適切に摂取すれば安全です。また、肝臓を保護する作用をはじめとする健康増進効果があるとされている食材です。
ウコンと癌との関連
では、ウコンに関する科学的検証、特に人間に対する臨床試験という形で、効果はどこまで検証されているのでしょうか。
世界的な論文掲載機関であり、信頼性の高いアメリカ国立衛生研究所のアメリカ国立医学図書館(NLM)によるPubmed(パブメド)で調べてみました。
Pubmedでの検索の結果、ウコンに関する論文は600件以上あり、そのうちがんに関する論文も150件以上ありました。
しかしこれらは動物実験などが主要なものであり、人間に対する臨床試験によって、ウコンが、がん患者さんのQOLを向上させたり、手術、抗がん剤、放射線治療の副作用を軽減させたり、がんの再発を予防したり、生存期間を延長させたりする効果を検討した論文は一件もありませんでした。
ウコンによる副作用や健康被害
ウコンの安全性について、独立行政法人「国立健康・栄養研究所」のホームページ内にある素材情報データベースの箇所には以下のように記載されています。
「安全性については、通常食事中に含まれる量の摂取であれば、おそらく安全と思われるが、過剰または長期摂取では消化管障害を起こすことがある。アキウコンは胃潰瘍または胄酸過多、胆道閉鎖症の人には禁忌とされ、胆石の人は医師に相談する必要がある」
現段階では、ウコンは、がん患者さんにとっても適切に適量を摂る程度なら問題はないと考えられます。
ウコンががん患者さんに与える影響
【QOL(生活の質)を改善するか?】
ウコンを摂取することによって、QOL(生活の質)を改善することを人間を対象とした臨床試験で証明した報告は、現段階ではありません。
【手術、抗がん剤、放射線治療の副作用や後遺障害を軽減するか?】
ウコンを摂取することによって、手術、抗がん剤、放射線治療の副作用や後遺障害の軽減を人間の臨床試験で証明した報告は、現段階ではありません。
【再発を予防したり、生存期間を延長したりするか?】
ウコンを摂取することによって、再発を予防したり、生存期間を延長したりすることを人間を対象とした臨床試験で証明した報告は、現段階ではありません。
【気を付けるべきこと】
過剰に長期間、ウコンを摂取する場合には注意が必要です。また、胃潰瘍や胄酸過多
の人、胆道閉鎖症の人は、使用を控えたほうがよいといえます。