生検とは、生体(組織)検査の略で、前立腺生検では組織を採取して顕微鏡で確認し、がん細胞があるかないか、あればどのくらいの悪性度なのかを調べます。最終的ながんの確定診断をするために、いちばん重要な検査といえます。
PSA値が基準値を超えている人、直腸診で前立腺にかたい部分がふれる人、超音波検査でがんの疑いがある人が対象です。
前立腺生検で最もよく使われるのは「針生検」という方法です。まず、肛門から超音波検査用のプローブを入れます。プローブで探知してモニターに映し出される前立腺画像を見ながら、バイオプティガンという自動生検装置を用いて、直腸内腔もしくは会陰から前立腺に針を刺すといった手順です。
前立腺の組織は、10力所以上針を刺して採取することが推奨されており、通常は10力所前後ですが、6カ所から20数カ所までと、刺す本数は施設によって違います。
生検では、がんの有無だけでなく、具体的ながんの広がり、PSA検査や超音波検査ではわからなかったがんの悪性度やがんの遺伝情報など、重要な情報を得ることができます。これは、今後の治療方針を決めるのに役立ちます。
外来や入院で実施。施設によって進め方は違う
前立腺生検を受けるときは、検査日の半日前から絶食して直腸の中を空にしておく必要があります。また、生検後約3日間は抗生物質を服用して腸内細菌を減らし、感染症を予防します。
組織の採取自体は30分程度で終わります。通常は局所麻酔や腰椎麻酔で行われ、まれに出血や感染症などの合併症が起こる心配があるので、1泊程度入院します。一方、外来で麻酔なし、あるいは局所麻酔ですませ、日帰りできる施設もあります。
検査後1週間くらいは、前立腺を刺激しないように、バイクや自転車に乗ることを控えます。
血液をサラサラにする薬を飲んでいる人は注意
心筋梗塞や脳梗塞などの心配がある人は、ワーファリンやバイアスピリンなどの抗凝固薬(いわゆる血液をサラサラにする薬)を飲んでいることがあります。
その場合、前立腺生検による出血が止まらない事態になることもあります。あるいは、麻酔の方法を変えることもあります。服用している薬は、どんな薬でも必ず医師に伝えましょう。生検を受ける前後に、抗凝固薬を服用するかどうか、主治医の判断を仰ぎましょう。
以上、前立腺がんの検査についての解説でした。
がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。
納得できる判断をするためには正しい知識が必要です。