子宮体がんの再発時・転移時の治療では、再発部位が一つで、切除が可能な小さなときは、摘出手術が第一の選択とされています。
また、大きさが4cm以下の肺への遠隔転移のときにも、肺の部分切除を選択肢として考慮するのが一般的です。
子宮体がんの再発では、膣断端(切除手術で残した膣下部)、卵巣・直腸などの臓器を含む小骨盤内、腹腔内など各所に、単発ないしは多発します。
またリンパ節、肺、肝臓などへの遠隔転移も少なくありません。
そのため、摘出手術できる再発がんは、限定されます。多発したがん、播種、大きながん、肺への遠隔転移で4cm以上のがんは、手術は適用できません。
適用手術のうち、膀胱や直腸など骨盤内の臓器を摘出する手術を「骨盤除臓術」といいます。骨盤除臓術は侵襲(身体的負担)が大きく、腸管や尿路に穴が開いたり、感染症、血栓症などの、重い合併症を引き起こすおそれがあります。
そのため習熟した婦人科医がいて、麻酔科など他科との一体化した連携があり、術後管理も万全な体制の整った施設以外では、実施例が少なくなっています。
骨盤内再発
がんが発見された初回治療で、放射線療法を行わなかったか、膣断端照射のみを実施したケースでは、可能ならまず外科的切除を先行します。その後は、全骨盤外部照射・子宮腔内照射などの放射線療法、あるいは抗がん剤治療を、効果を見つつ追加します。
初回治療で全骨盤外部照射をしたケースでは、抗がん剤治療を実施します。ホルモン療法を行うこともありますが、効果が上がらないときは抗がん剤治療に切り替えます。
遠隔転移
4cm以下の肺への遠隔転移のように、がんが単発かつ切除可能なときは、摘出手術を行い、経過を見つつ、適宜放射線療法や抗がん剤治療を加えるのが標準的です。
単発でも切除が不可能、あるいは多発しているケースでは、効果を見つつ、放射線療法、抗がん剤治療、ホルモン療法を実施します。また切除可能ながんがあれば、それを摘出して、病変部分を小さくして、治療効果を高めることもあります。
抗がん剤治療法では「AP療法」や「CAP療法」、卵巣がんの標準治療でもある「TC療法」、ドセタキセルとシスプラチンを併用した「DP療法」などが候補とされています。
以上のように、再発したときは、可能な限りの治療を加え、がんの消滅ないし縮小を図ります。がんが複数で骨盤内にとどまっている場合は抗がん剤治療や放射線療法が、腹腔内全体や複数に遠隔転移が認められる場合は抗がん剤治療がすすめられます。
以上、子宮体がんの再発時の治療法についての解説でした。