手術して退院した後1カ月程度は、重い荷物の上げ下ろしや背伸びをして行う作業など、腹圧がかかるような動作を避けましょう。腹圧によって、腹壁ヘルニアを起こしたり、リンパ浮腫を悪化させることがあります。
腹壁ヘルニアは、手術で縫い合わせた左右の腹筋が開いて、腸が飛び出す状態のことで、たいてい横になっておなかの上から腸をなでれば元に戻ります。
予防のためには、退院後1カ月は腹帯やガードル、ボディスーツなどで腹筋を抑えるとよいでしょう。ただし、リンパ節を切除した場合は、リンパの流れを阻害しないよう、腹帯を使用しましょう。
職場復帰後約3カ月は作業内容や通勤時間を調整
職場復帰後、電車やバスなどで移動する際は、座れる時間帯に利用しましょう。立っていると、揺れたときに踏ん張るため、腹筋に力が入ってしまいます。復帰後約3カ月は、通勤時間や腹圧がかかるような作業を調整してもらうなど、職場と相談してみましょう。
ヘルニアによる腸閉塞に注意
腹壁ヘルニアは、多くの場合、おなかの力を抜くことで自然に元に戻ります。しかし、ヘルニアの穴が小さいと、腸が締め付けられて血行が悪くなり、腸閉塞を起こすことがあります。
この場合、緊急手術により血行が悪くなった部分を切除したうえで、修復手術を行います。また、手術を行っても、再発する場合もあります。急な激しい腹痛や吐き気、嘔吐などの症状が現れたときは、すぐに受診しましょう。
腹圧がかかる動作に注意
・買い物での重い荷物
重い荷物を持って歩くのは、リンパ浮腫の悪化につながる
・布団の上げ下ろし
重いものを持ち上げるときや下ろすときに腹筋に力がかかる
・浴室の清掃
前のめりで行う作業も腹筋に力が入る
・高いところに洗濯物を干す
背伸びをするときに腹筋を使う
・電車やバスで立っている
揺れたときに踏ん張って腹筋を使ってしまう
・中腰でものを取る
中腰の状態も腹筋を使う
以上、子宮頸がん手術後の日常生活についての解説でした。
がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。
納得できる判断をするためには正しい知識が必要です。