膀胱がんは50歳以降から発生しはじめ、60歳頃から増えていきます。
ピークは60~70代となっており、比較的高齢者に多いがんです。そして、男性の方がかかりやすく、女性の膀胱がんの頻度と男性の頻度は、男性の方が3倍は高い状態です。
なぜ、こんなに男性の方が高いのか、実はまだわかっていません。1つは、たばこの煙や発がん性物質を仕事などで吸い込む機会が多いといった原因が考えられていますが、それだけだとはいえません。男性ホルモンそのものが関与しているのではないかという研究結果もあります。
膀胱がんの罹患率は、どんどん増えているということはなく、ここ20年程の統計を見ても、大きくは変わらないようです。これは世界中の傾向だといえます。
ただ、地域差は顕著なものがあります。欧米に多く、アジア人、日本人に少ない傾向があります。
アメリカの膀胱がんの発がん率は、男性で10万人当たり36人、女性で10万人当たり9人なのに対し、日本では男性で10万人当たり10~12人。およそ3分の1です。この原因をもう少し追究すると、膀胱がん全体の予防にもつながるデータが出る可能性があります。
膀胱がん全体の5年生存率としては、最近(2010年代)では82%というデータがあります。70年代では73%でした。近年になり上昇しています。
なお膀胱がんで亡くなる可能性としては、10万人当たり男性で3人から4人といわれています。つまり膀胱がんになった12人のうち、およそ3人が亡くなるということです。
つまり膀胱がんになった方の4人に1人は、その膀胱がんで最終的に命を落とすことになるかもしれないというデータです。この傾向も、やはりこの統計がはじめられた1990年からあまり変わりません。罹患率が目立って増えているわけではありませんが、死亡率もあまり改善できていない、という状況にあります。
以上、膀胱がんの原因と生存率についての解説でした。