膵臓がんは初期にはほとんど自覚症状がなく、しかも進行が速いために、治療が難しいがんの1つです。
患者さんは60歳ぐらいから増えはじめ、女性よりも男性に多く見られます。最近は薬物療法が進歩し、生存期間の延長が期待できるようになっています。
膵臓がんの病期(ステージ)と標準治療
・ステージⅠ
がんが膵臓の中にあり、リンパ節への転移はない
標準治療:手術+術後補助化学療法
・ステージⅡ
がんが膵臓とその周囲にはあるものの、重要な血管にはまだ及んでいない。リンパ節への転移はない、あるいは隣接するリンパ節までに限られている
標準治療:手術+術後補助化学療法
・ステージⅢ
がんが膵臓のまわりの重要な血管に及んでいるが、遠隔転移はない
標準治療:化学療法(同時化学放射線療法)
・ステージⅣ
遠隔転移がある
標準治療:化学療法
優先は手術。再発・悪化を防ぐためほぼ全員に薬物療法が提案されます
膵臓がんの治療の基本は手術で、がんが周囲のリンパ節や血管に及んでいないステージⅠやⅡが対象です。手術のあとには、再発予防を目的に、術後補助化学療法を行うことが標準治療とされています。「手術+術後補助化学療法」を行った場合の再発予防率は2割程度といわれています(5年間の成績)。
がんが大きくなって、周囲の血管(腹腔動脈、上腸間膜動脈)に広がっていたり、リンパ節や遠隔臓器に転移していたりして手術が難しいステージⅢやⅣでは、抗がん剤単独で治療を進めていきます。
ステージⅢ(局所進行膵臓がん)に対する同時化学放射線療法については、ジェムザール単独療法に比べ、明確な有効性が証明できていません。
以上、膵臓がんの標準治療についての解説でした。