「筋層非浸潤性膀胱がん」が浸潤がんに進展してしまった場合は、膀胱の全摘出が標準的な治療法です。
浸潤がんとなった場合は、将来的には30~50%ががんによって死亡するというデータがあり、予後は良好ではありません。いっぽうで「筋層非浸潤性がん」の段階で膀胱全摘を行った場合、5年生存率は80~100%と高い数値が保たれています。
そのため、進行するリスクが高いと判断された場合は筋層非浸潤性がんの段階で膀胱の全摘出が検討されます。特に
1.リンパ管浸潤を伴う場合
2.BCG治療開始してから6カ月経っても寛解しない場合
3.BCG治療2コース後に再発した場合
などは、非常に高い進行のリスクがあるといえ、膀胱の全摘出術が積極的に検討されることになります。
いっぽうで、膀胱の全摘は尿路変向術を伴い、生活の質や美容上の問題があります。また、膀胱温存治療を継続しても進行しないケースもあるので全摘のタイミングについては医師および患者共にジレンマが残り、難しい判断になります。