肺がん、乳がん、大腸がんなどは特に脳に転移することがあります。
脳に転移すると、いわゆるステージ4の状態になりますが「ガンマナイフ」「サイバーナイフ」「ノバリス」などで対処できれば脳転移に関する症状を長く抑えられる可能性がでてきます。
脳に転移するリスクのあるがんにかかった人は、半年に一度くらいのペースでCT検査を受け、転移巣があまり大きくならないうちに治療することが大切です。がんが脳に転移すると、ものがぼやけたり二重に見えたりする「視覚障害」、手がふるえたり腕が麻痺したりする「行動傷害」、もの忘れをする「記憶障害」がおこり、人柄が変わる「人格障害」がおきることもあります。
ガンマナイフ
ガンマナイフは201本のガンマ線を脳転移の箇所に照射し、ナイフで切りとったようにがんをとりのぞきます。しかし1本1本の線は弱いので、脳のほかの箇所に影響することはありません。ただしガンマナイフを使用するには、がんの直径が3センチ以下で、3個以内であることが望ましいとされています。
脳転移があまり大きくなったり、数が多くなったりすると、線量が多くなりすぎて問題がおこります。ガンマナイフはがんを0.1ミリの誤差で照射できますが、正確にコントロールするため、局所麻酔をかけて患者の頭を金属のフレームで固定します。
照射はいちどだけで、がんが消えるまでに半年近くかかることもありますが、さまざまな障害は早々と解消します。ガンマナイフは脳に新しい転移巣ができたときにも、再使用することができます。
サイバーナイフ
サイバーナイフはIMRTを極限まで小型化した機器で、「人工知能のナイフ」とも呼ばれます。
ガンマナイフとちがって頭を金属性の固定具で固定する必要がなく、プラスチック製のメッシュ状の固定具を使用することが特徴です。治療では、六軸のロボットアームの先にとりつけた超小型のリニアックが、2台のX線透視用のカメラで操作されます。誤差は2ミリ以下とガンマナイフより劣りますが、からだの1センチ以内の動きなら、コンピュータが瞬間的に補正して照射し続けます。
サイバーナイフは3センチをこえる脳転移や、頭頸部のがんの治療に使われてきましたが、新型の「サイバーナイフⅡ」が導入されてから治療範囲が広がりました。脊髄、肺、肝臓、腎臓、前立腺のがんばかりか、すい臓がんにまで適用されています。治療回数は1回から数回におよびますが、通院で治療できることがメリットです。
ノバリス
ノバリスでは、ネコの目のように動くと表現される「マイクロマルチリーフコリメータ」が放射線のビームを瞬間的に変化させ、がんのかたちにあわせたり、強さを調節したりします。だから、正常細胞にたいする被害は最小限に抑えられます。3センチ以上の脳転移と脳腫瘍や頭頸部のがんのほか、肺がんや肝臓がんにも使用されます。
以上、放射線治療についての解説でした。