胸部エックス線検査や喀疾検査などの1次検診で異常がみつかった場合、その異常個所、つまり「がんと疑われる部位」を直接みて、病変があれば採取し、それを顕微鏡で詳しく観察してがんかどうかを確認します。これを病理生検といいます(病理検査)。この病理生検には、気管支鏡を使います。
気管支鏡を使った検査とは
気管支鏡とは肺の内視鏡で、細い胃カメラのようなものです。肺の内部が観察でき、病変がある場合は、その部位を採取することができます。気管支鏡による検査は外来でもおこなうことが可能です。所要時間は5~10分です。
気管支鏡検査をおこなうときは、まず検査前にのどや気管にスプレーで局所麻酔をします。つぎに、鼻や口から「気管支ファイバー」をゆっくり挿入し、気管や気管支まで入れます。
病理生検をおこなうときは、気管支鏡のなかに通したブラシのような器具で病変部位(がんがあると疑われる部分)をこすりとったり、細長い針で吸引したり、鉗子で摘みとったりします。こうして採取した病変を、顕微鏡で詳しく観察して確定診断をおこないます。
蛍光気管支検査とは
早期の肺がんは喀痰(かったん)検査で異常があっても、気管支鏡でみることができないこともあります。こういうときは特殊な青色のレーザーをあてると、病変がある部位だけが暗くみえ、確認することができる蛍光気管支鏡検査をおこなうことがあります。
なお、気管支鏡は直径6mm程度と太いため、複雑で細かく入り組んだ肺に挿入できる範囲はかぎられます。肺門型の太い気管や気管支を検査するときはそれほど問題ないのですが、肺野型で肺の奥深くは観察しにくく、からだに負担がかかります。
このようなことから、気管支鏡で病理生検がうまくいかない場合は経気管支擦過細胞診や気管支洗浄、経皮的肺針生検などをおこなって確認します。
「※経気管支擦過細胞診」
気管支鏡でみえる範囲よりも遠く(末梢)に病巣がある場合に、X線透視のもと、気管支鏡で気管支をのぞきながら病巣部位の細胞をこすりとって検査すること。
「※気管支洗浄」
痰の排出が困難な場合に、気管のなかを生理食塩水で洗浄すること。気管支を洗浄することによって、気管支のなかの細菌や肺の状態を調べる。
「※経皮的肺針生検」
胸部X線や超音波検査で肺のなかに病変が確認できるものの、胸壁に近く小さいときに、皮膚から針を刺して、肺のなかにある病巣から細胞を採取する検査のこと。
以上、肺がんの検査についての解説でした。