【レジメン】
パクリタキセル:タキソール(PTX)=80mg/m2:点滴静注(1時間)
【前投薬】
①デキサメタゾン9.9mgIV(次回以降減量可):PTX投与30分前
②ジフェンヒドラミン50mgPO:PTX投与30分前
③ファモチジン20mgIV:PTX投与30分前
■基本事項
【適応】
・術前、術後化学療法
・転移、再発症例
【奏効率】
<術前・術後化学療法(AC followed by Weekly PTX療法として)>
・5年無増悪生存率
81.5%
・5年全生存率
89.7%
<転移・再発症例>
・奏効率
42%
・生存期間(中央値)
24カ月
【副作用】
・好中球減少:Grade3~4=2%
・発熱性好中球減少症:Grade3~4=1%
・感染:Grade3~4=3%
・口内炎:Grade3~4=0%
・倦怠感:Grade3~4=3%
・筋肉痛:Grade3~4=2%
・関節痛:Grade3~4=2%
・流涙:Grade3~4=0%
・神経障害:Grade3~4=8%
レジメンチェックポイント
①前投薬の確認:制吐薬・重篤な過敏症状の発現を防止
②投与量・検査値の確認
白血球数または好中球数が以下の基準にあてはまれば、回復するまで投与を延期。白血球数が1,000/mm3未満となった場合には、次回の投与量を減量すること
・初回コース:白血球=3,000/mm3未満、好中球=1,500/mm3未満
・同一コース:白血球=2,000/mm3未満、好中球=1,000/mm3未満
<減量の目安>
・通常投与量:80mg/m2
・1段階減量:60mg/m2
<肝機能低下症例に対する減量の目安>
・AST/ALT 10×ULN未満かつT-Bil 1.26~2.O×ULN:PTX投与量=25%減量
・AST/ALT 10×ULN未満かつT-Bil 2.01~5.O×ULN:PTX投与量=50%減量
・AST/ALT 10×ULN以上またはT-Bil 5.O×ULN:PTX投与量=中止
③点滴速度の確認:1時間で点滴静注
④併用薬の確認
・ジスルフィラム、シアナミド、プロカルバジンは併用禁忌(顔面潮紅、血圧降下、悪心、頻脈等のアルコール反応を起こすおそれがあるため)
・ビタミンA、アゾール系抗真菌薬、マクロライド系抗菌薬、ニフェジピン、シクロスポリン、ベラパミル、ミダゾラム(PTXの代謝酵素がCYP2C8、CYP3A4であるためPTXの血中濃度が上昇)
副作用対策と服薬指導のポイント
①アルコールに関する問診(アルコールに過敏な患者は慎重投与)
自動車の運転など、危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。WeeklyのPTX投与では、ビール瓶中瓶1/2本程度のアルコールが含まれている
②アレルギー症状
皮膚の異常(蕁麻疹)、顔面潮紅、息苦しさ、動悸などが出現した場合は、すぐに申し出ることを伝える
※PTXと溶解補助剤のポリオキシエチレンヒマシ油による過敏症およびショック
③末梢神経障害
手足のしびれ、刺痛、焼けるような痛みが発現した場合は。すぐに申し出ることを伝える。PTXによる末梢神経障害は高頻度に起こり、適切に減量・休薬などを行う
④脱毛
高頻度で発現し、治療後1~3週間で抜け始め、全治療終了後は回復する