がんが転移したり再発したと医師に告げられると、患者も家族も動揺してしまいます。
しかしその後にきちんと対応するには、まず冷静に医師の話を聞いたうえで、治療方針を考える必要があります。
医師の説明を聞く際には、できればメモをとったり会話を録音したりするとよいでしょう。
記録しておけば、その場ですぐに理解できないことでも後で落ち着いて理解することができます。
また疑問点や確認したいことを後で思いついたときに、その内容を整理して医師にたずねることもできます。
ただし録音は、後で訴訟などのおそれもあるとして同意しない病院や医師もいるので、治療についてよく理解したいためと説明し、了解を得られた場合のみ行いましょう。
医師に次のような点を確認しておくと、患者や家族が病状をよく理解し、治療方針を選択するうえで役に立ちます。
1.がんはどこに転移または再発し、どのくらい進行しているか。
2.どんな治療法が考えられるか。
3.治療によってどんな効果を期待できるか。
4.医師が勧める治療法はあるか。それを勧める理由は何か。
5.治療による副作用は何か。治療による生命の危険はあるか。
6.治療後に後遺症や障害は残るか。
7.治療を受けないとどうなるか。その場合のプラス面はあるか。
8.治療は誰が行うか。治療を行う医師は同じような病状の患者の治療経験はあるか。化学療法(抗がん剤投与)や放射線治療を行う場合、専門医が行うのか。
9.治療にはすべて保険が適応されるか。保険適応外でより効果的な治療法はあるか。
10.臨床試験に参加することはできるか。
11.入院期間や治療期間はどのくらいか。
12.治療費は全体でどのくらいかかるか。高額療養費(高額医療費)の貸し付け制度など金銭的なサービスを受けられるか。
13.患者や家族に対する支援サービスはあるか。(送迎バス、家族用の宿泊施設、精神的ケア、在宅介護など)
再発がんや転移がんに対しては化学療法が行われることが多いものの、治療法について個々の医師の考え方は必ずしも同じではありません。
そのため同じ種類の転移がんや再発がんでも、病院によって対応がが異なることもあります。一般にどのような治療法があるかをがん治療の解説書やインターネットなどで調べることもできます。
がんの拠点病院には患者の相談支援センターが設けられているので、医師に聞きにくいことはこうした場所で相談員に聞くこともできます。
また、別の医師の意見(セカンド・オピニオン)を求めることもできます。