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18.卵巣がん

卵巣がん「漿液性腺がん」「粘液性腺がん」「類内膜腺がん」「明細胞腺がん」とは

卵巣がん

卵巣にできる腫瘍をその発生個所で大別すると、「表層上皮性・間質性腫瘍」「性索間質性腫傷」「匪細胞腫瘍」「その他」があります。

最も多く見られるのは、卵巣の表面を覆っている細胞の病変である「表層上皮性・間質性腫瘍」で、「上皮性卵巣腫瘍」とも言います。

この上皮性卵巣腫瘍が、卵巣腫瘍全体の80~90%を占めています。

卵巣腫瘍はさらに、性質で大別すると「良性腫瘍」と「悪性腫蕩」、「境界悪性腫瘍」の3つのタイプに分けられます。

卵巣腫瘍の85%は良性腫揚で、悪性腫瘍は15%です。

悪性腫瘍のほとんどを占める上皮性卵巣がんには、漿液(しょうえき)性、粘液性、類内膜、明細胞などの各”組織型”があります。

その上、それぞれに異型が存在するので、ひと口に卵巣がんと言っても、極めて多種多様なタイプがあります。

また分化度にはG1~3があり、G1が最も分化度が高く、悪性度は低くなります。


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卵巣にできる腫瘍(卵巣がん)は4種類のタイプがある

卵巣腫瘍は、発生する場所によって、4つのタイプに大別されます。

さらにそれぞれ、「良性」「境界悪性」「悪性」に分類されます。

悪性に比べ、境界悪性はおとなしい卵巣がんですが、不適切な治療を行うと致命的になります。

それぞれのタイプ別の特徴は以下のとおりです。

表層上皮性、間質性腫瘍

卵巣の表面をおおう上皮にできるものを表層上皮性腫瘍といい、卵巣皮質と卵胞の間にある結合組織(卵巣間質)にできるものを間質性腫瘍といいます。これらのタイプが最も多く、卵巣腫瘍全体の60~70%をしめます。

性索間質性腫瘍

卵胞内の顆粒膜、または黄体から発生する腫瘍で、ホルモンを産生します。腫瘍全体の5~10%程度です。

胚細胞腫瘍

卵胞内に存在する胚細胞(生殖細胞)から発生する腫瘍です。腫瘍全体の15~20%程度を占めます。この腫瘍の悪性のものは、若い世代に見られるのが特徴です。

その他の腫瘍

発生した場所がはっきりしない腫瘍や、胃や直腸などほかの臓器のがんが転移してきた転移性腫瘍などがあります。

卵巣がんの組織型

次に組織型です。これも大別すると4種類になります。

卵巣がんの「しょう液性腺がん」の特徴とは?

しょう液性腺がんは、卵巣がんのうち最も多く見られる組織型で、日本では卵巣がん全体の約40%を占めます。1期がんでも、症例の1/3は両側の卵巣にがん細胞が存在します。

また、発見されたときにすでに進行していることが多く、初回手術時に60~70%の症例が3期~4期に進んでいると言われます。

35~60歳代に多くみられ、最も進行が早いがんです。

約30%は両側の卵巣に発生します。

リンパ節転移もしやすく、I期でも30%は骨盤~傍大動脈のリンパ節に転移しています。

一般に化学療法に対する感受性が高く、手術療法と化学療法の組み合わせが予後(病後の経過)の向上に役立っています。ただし、5年生存率でみると、卵巣がんの中では最も予後不良な組織型です。

卵巣がんの「粘液性腺がん」の特徴とは?

粘液性腺がんは、粘液を作り出す上皮細胞ががん化し、増殖していくものです。原発性卵巣がん全体のうち約20%を占めます。卵巣が2個ともがんになる症例は少ないです。

閉経以降に多いのですが、20~30歳代の人にみられることもあります。

また、粘液性腺がんの約1/2は、1期がんで発見されており、悪性度が低い(組織学的分化度が高い)症例が多いことから、粘液性卵巣がんは、一般に予後は良好です。

ただし、卵巣外に進展した粘液性腺がんは、しょう液性腺がんより、予後が悪い場合もあります。粘液性腺がんは、化学療法に抵抗性を示す場合が多いからです。

卵巣がんの「類内膜腺がん」の特徴とは?

類内膜腺がんは卵巣がん全体の約20%を占め、類内膜腺がんの約30%近くは卵巣2個ともにがんが認められます。20~40歳代に多いのですが、60歳代でもみられることもあります。また、類内膜腺がんの約30%に、子宮内膜症を合併している症例が見られます。

実際に、子宮内膜症性嚢胞の経過観察中に、類内膜腺がんが発見されることもあります。このタイプは卵巣の子宮内膜症(チョコレート嚢胞)から発生するのが特徴です。

進行は比較的遅く、卵巣がんの中では最も予後のよいがんとされています。一般にしょう液性腺がんや粘膜性腺がんよりも、予後は良好です。

また、しょう液性腺がんと同様に、化学療法が比較的効果があります。

卵巣がんの「明細胞腺がん」の特徴とは?

明細胞腺がんは、近年、特に増加傾向にあり、卵巣がん全体の約20%を占めるまでになっています。

子宮内膜症を合併している確率が50%以上と高く、実際に子宮内膜症性嚢胞から明細胞腺がんが発生していることがしばしば観察されています。

1期症例が、明細胞腺がん全体の40~60%を占めています。ただし、同じ1期でもほかの組織型の卵巣がんと比べると、明細胞腺がんの予後はやや悪い方です。

現時点では、化学療法の有効性が低いので、新薬や治療法の開発が待たれるところです。なお、明細胞腺がんの患者さんは、血栓症や肺梗塞のリスクが高く、これらの病気を併発しないよう、注意が必要です。

 

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