外陰がんは、女性性器がんのなかで子宮がん、卵巣がんに次いで多いがんです。
発生しやすい部位は大陰唇、陰核、小陰唇です。
組織学的には扁平上皮がんがほとんどですが、腺がんや、まれにメラノーマ(悪性黒色腫)のこともあります。
明確な原因はわかっていませんが、外陰がんになりやすい前駆症状として、外陰萎縮症や外陰白斑症が注目されています。好発年齢は60~70歳です。
外陰がんの初期症状と自覚症状
外陰がんの初期症状は外陰部の疼痛としこりです。
外陰部の皮膚が白く粗くなったり、排尿時に外陰部がほてるように感じたりすることもあります。外陰萎縮症を合併していると、かゆみを感じます。
腫瘍が大きくなり、潰瘍になると、分泌物や出血がみられます。
潰瘍に尿や便が触れると、激しく痛みます。
がんの表面が破れると、おりものや不正出血があらわれます。
・外陰がんの検査と診断
検査では産婦人科を受診します。
肉眼で腫瘍が確認できれば、簡単に診断がつきます。
しこりががんかどうか判別できない場合は、組織検査と細胞診が行なわれます。
病期は0期~Ⅳ期の5段階に分類されます。
外陰がんの転移の確率
外陰の周囲はリンパ管が豊富なので、早期がんでもリンパ節転移がみられます。
直径2cmの腫瘍でリンパ節転移する割合は、約25%とされています。直径3~5cmの腫瘍になると、半数以上がリンパ節転移を起こします。
外陰がんの治療と手術と5年生存率
手術が原則ですが、病期によっては放射線療法、化学療法も行なわれます。
どの病期でも、手術の対象となります。
0期~Ⅰ期では局所切除術または単純外陰切除術などが行なわれます。
Ⅱ期以降のがんには広い範囲の外陰摘出術が行なわれますが、病巣の広がりに合わせて、そけい部(太もものつけ根)リンパ節切除や周辺臓器の切除が行なわれることもあります。こうした手術に、放射線療法と化学療法が併用されます。
手術が不可能な人には、放射線療法や、ブレオマイシンなどの抗がん薬による治療が行なわれます。
治療後の5年生存率はⅠ期で約80%、Ⅱ期で約60%です。