16.前立腺がん

前立腺を摘出する「前立腺全摘除術」とは

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前立腺がん

血液中のPSA値を調べるPSA検査が普及したことで、前立腺がんの早期発見が可能となってきました。

そのため、がんが前立腺内にとどまっている場合は、前立腺全摘除術を行うことで、がんをすべて取り除くことができます。

全摘出を行う場合、手術で切除するのは、前立腺のほか、精嚢、精管の一部、膀胱頸部の一部で、それらに関連したリンパ節も対象となります(リンパ節郭清)。手術方法には、恥骨後式と会陰式があり、恥骨後式が一般的に行われています。

恥骨後式は通常、麻酔に全身麻酔と硬膜外麻酔を併用します。硬膜外麻酔に、術後の痛みを緩和する効果もあるからです。下腹部を縦に切開して手術します。前立腺摘出後、尿道に管(カテーテル)を留置して切開した手術創を閉じます。

会陰式は、陰嚢の裏側と肛門の間の部分を切開し、前立腺と直腸の間をはがして前立腺を摘出します。

どちらの手術も前日ごろから入院します。手術自体は約3~4時間で終わり、そのあと10日~2週間くらいの入院になるのが普通です。術後1週間くらいして、尿道のカテーテルが抜かれます。

その後、術後の合併症である尿もれに悩まされますが、ケアの仕方は看護師が指導するので、自分で対処できるようになってから退院する人も多いようです。

■手術中の出血が多いため自己血輸血の可能性も

前立腺は体の深部にあり、周囲をさまざまな臓器に囲まれています。また、前立腺の前面には静脈が密集している部分(サントリーニ静脈叢)があります。したがって、開腹による前立腺全摘除術は、大量の出血を起こしやすいむずかしい手術です。

そのため、事前に自分の血液を採血して保存しておく作業を行い、自己輸血できるようにする場合もあります。1週間から10日間隔で2~3回、400mlずつ採血して保存します。

■モニターを確認しながら行う「腹腔鏡丙視鏡下前立腺全摘除術」

腹腔鏡下前立腺全摘除術とは、腹腔鏡という内視鏡(カメラ)を使って行う手術です。腹腔鏡(内視鏡)を患者さんの体内に挿入するために、腹部に5~12mmの穴を複数個(通常は5個)あけ、ここから腹腔鏡や手術器具を挿入します。

また、手術する空間を確保するため、腹部に二酸化炭素を送り込んで膨らませる「気腹」を行います。

実際の作業はカメラの画像をモニターで見ながら行い、患部をよく観察しながら、体外から手術器具を操作して前立腺や精嚢を摘出します。

術者の目となる腹腔鏡がおなかの中に入るため、奥まって見にくいところもよく見え、同時にモニターで拡大しているため、開腹による前立腺全摘除術より細かい部分が見えます。前立腺は恥骨の裏側にあり、骨盤の奥に位置するため、これは大きなメリットです。

また、開腹手術と比べると手術創が小さいため、痛みも少なく、気腹のために出血が少ないこともメリットの1つ。回復も早いといえるでしょう。

一方で、狭い範囲で臓器の摘出や縫合作業を行うために、手術時間は通常3~6時間と、開腹手術より長くかかり、患者さんに負担がかかります。手術を行う医師にも、熟練した技術と経験が不可欠です。

また、通常の手術では腹腔を開かずに行いますが、腹腔鏡下全摘除術では腹腔に穴を開けます。そのため、術後まれに腸の癒着が起こるリスクも否定できません。手術後は数日間、尿道にカテーテルを留置します。5~7日程度で退院するのが通常です。

■骨盤底筋体操でケア

退院後は、骨盤底筋体操を毎日行うことを習慣にして、尿漏れを防ぐようにすれば、平均して1ヵ月くらいで、長くても1年くらいで改善されます。

また、前立腺を刺激しないように、1カ月くらいは長時間の自転車やバイク乗車は避けるといった注意が必要です。

■主な前立腺全摘除術の対象となる人

・限局がん(がんが前立腺内にとどまっている)
・期待余命が10年以上
・低リスクの人(PSA<10ng/ml、グリソンスコア6以下、T分類T1かT2a、この3項目をすべて満たす)
・中リスクの人(PSAが10~20ng/ml、またはグリソンスコア7、またはT分類T2bかT2c)

以上、前立腺がんの治療法についての解説でした。

がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

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