04.大腸・直腸がん

大腸がんの薬物療法とよく使われる抗がん剤などの薬について

大腸がんの薬物療法

大腸がんの薬物療法で中心となるのは、5-FU(フルオロウラシル)系の薬です。通常、5-FUの効果を増強する活性型葉酸製剤(レボホリナートなど)と一緒に投与されます。

イリノテカンとオキサリプラチンは90年代後半に登場した薬です。以来、5-FUとレボホリナートにプラスして、イリノテカンまたはオキサリプラチンを用いる多剤併用療法が標準治療になっています。さらに大腸がんでは分子標的薬も次々と開発され、薬物療法は進化しているといえます。

2007年に承認されたベバシズマブ(商品名:アバスチン)は、がん組織への栄養や酸素を供給するための新しい血管がつくられないようにする作用があり、「血管新生阻害薬」と呼ばれます。

08年に承認されたセツキシマブ(アービタックス)と、10年に承認されたパニツムマブ(ベクチビックス)は、がん細胞が増殖するために必要なシグナルを受け取るEGFR(上皮成長因子受容体)というタンパクを標的にした「抗EGFR抗体薬」に分類されます。

近年、セツキシマブやパニツムマブは、EGFRの下流のシグナル伝達に関わるKRAS遺伝子に変異がない人(野生型と呼ばれます)で治療効果が高いことが分かってきました。

そこで最近は、投与前にKRAS遺伝子の変異の有無を調べ、薬の効果が期待できる野生型の人だけに投与するようになりました。大腸がんの約6割は野生型とされます。KRAS遺伝子変異検査は健康保険が使えます。

新しい分子標的薬のレゴラフェニブ(スチバーガ)も2013年に承認されました。これは、さまざまなシグナル伝達経路を抑える経口マルチキナーゼ阻害薬に分類されます。レゴラフェニブは米国や日本の臨床試験で、進行・転移性大腸がんに対し、全生存期間や無増悪生存期間を改善したことが明らかになっています。KRAS遺伝子の変異の有無に関係なく使えることも利点とされます。

■再発、転移大腸がんに使われる薬

複数の分子標的薬が使えるようになったことで、再発・転移がんの薬物療法は大きく変わりました。

現在は、5-FU、レボホリナート、オキサリプラチンを一緒に投与する「FOLFOX療法」、5-FU、レボホリナート、イリノテカンを一緒に投与する「FOLFIRI療法」、カペシタビン、オキサリプラチンを一緒に投与する「XELOX療法」に、分子標的薬のべバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブのいずれかを併用することが推奨されています。

海外の臨床試験などで、併用したほうががんを縮小させて生存期間を延長させる効果が確認されています。

初回治療(1次治療)でどの組み合わせを選択してもよいとされますが、「大腸がん治療ガイドライン」では「FOLFOX+ベバシズマブ療法」または「XELOX+ベバシズマブ療法」が推奨されています。

初回治療のカギになるのがベバシズマブです。欧米の臨床試験で、ベバシズマブを含むレジメンによる1次治療で増悪しても、2次治療でベバシズマブを再投与する継続投与で全生存期間を有意に延長することが認められました。

一般的にはベバシズマブを使える患者さんはそれを優先して使い、2次治療でも可能であればベバシズマブをまた併用し、3次治療でセツキシマブを使えるようにします。ベバシズマブは3次治療以降での効果が確認されていませんが、セツキシマブは3次治療で使っても効果が期待できることが理由です。

KRAS遺伝子の変異がない人(野生型)では、早い段階でセツキシマブかパニツムマブを組み込みます。パニツムマブは単剤でも使えて、2週間に1回の投与でよいことが最大の利点です。順番はどうであれ、これらの薬を全部使えるような状況にすることが生存期間を延長させるポイントになります。

なお、FOLFOX療法とFOLFIRI療法は、ともに約46時間かけてゆっくり点滴しなければなりません。外来で行う場合は、薬を静脈に送るために皮下にポートと呼ばれる特殊な機器を埋め込み、薬を少しずつ投与していきます。

5-FUの代わりに経口薬のカペシタビンを用いたXELOX療法は、FOLFOX療法と同等の効果が認められています。FOLFOX療法のようにポートを埋め込む必要がなく、3週間に1回の通院ですむのが利点です。

■手術後の補助化学療法として使われる薬

自己管理で行う経口薬による方法と、通院して外来で受ける注射薬による方法があります。自己管理が困難な患者さんでは注射薬を選択することもありますが、最近は経口薬による方法がほとんどです。

経口薬では5-FU系のテガフール・ウラシルと活性型葉酸製剤(ホリナート)の併用、またはカペシタビン単独療法がよく使われます。通常、半年間服用します。

09年にはFOLFOX療法が、10年にはXELOX療法が、術後補助化学療法としても承認されました。通常、XELOX療法が優先されます。

■大腸がんによく使われる薬

<抗がん剤>

・代謝拮抗薬
フルオロウラシル(5-FU):製品名5-FU
テガフール・ウラシル(UFT):製品名ユーエフティ
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(S-1):製品名ティーエスワン
カペシタビン(CAP):製品名ゼローダ

・植物アルカロイド
イリノテカン(CPT-11):製品名カンプト、トポテシン

・プラチナ製剤
オキサリプラチン(L-OHP):製品名エルプラット

<分子標的薬>

ベバシズマブ(BEV):製品名アバスチン
セツキシマブ:製品名アービタックス
パニツムマブ:製品名ベクティビックス
レゴラフェニブ:製品名スチバーガ

<活性型葉酸製剤>

レボホリナート:製品名アイソボリン、レボホリナート
ホリナート:製品名ロイコボリン、ユーゼル

以上、大腸がんの薬物療法についての解説でした。

がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

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