
子宮頸がんの診断後に必要となる画像検査
こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。
子宮頸がんと診断された後、医師は治療方針を決定するために、がんがどこまで広がっているかを詳しく調べる必要があります。
この記事では、子宮頸がんの転移の有無を調べるために行われる各種画像検査について、最新の情報をもとに詳しく解説します。
子宮頸がんの進行期(ステージ)を正確に判断し、手術範囲や治療方法を決定するためには、複数の画像検査を組み合わせて総合的に評価することが重要です。それぞれの検査には特徴があり、得意とする部位や目的が異なります。
MRI検査の役割と検査の詳細
子宮頸がんと診断されると、まず最初に行われることが多いのがMRI(磁気共鳴画像)検査です。MRIは強い磁場と電波を利用して、体内の状態を画像化する検査です。
MRI検査が子宮頸がんの評価に重視される理由は、骨盤内の軟部組織を非常に鮮明に映し出すことができるためです。具体的には、がんの大きさ、子宮の筋層内への浸潤の深さ、腟壁や子宮傍組織への広がり、膀胱や直腸など周囲臓器への浸潤の有無を詳細に確認できます。
MRI検査で評価できる主な項目
MRI検査では以下のような情報を得ることができます。
- がんの正確な大きさと位置
- 子宮頸部から子宮体部への進展の有無
- 腟壁への浸潤の程度
- 子宮を支える靭帯や周囲組織への広がり
- 膀胱や直腸への浸潤の可能性
- 子宮に隣接する卵巣・卵管への影響
これらの情報は、手術が可能かどうか、どの程度の範囲を切除する必要があるかを判断する上で欠かせません。特に、子宮頸がんでは手術前に進行期を決定することが一般的であるため、MRI検査の役割は重要です。
MRI検査を受ける際の注意点
MRI検査は痛みを伴わず、X線による被曝もないため、安心して受けられる検査です。検査時間は通常15〜20分程度です。
ただし、次のような方は検査を受けられない場合があります。
- 心臓ペースメーカーを装着している方
- 人工内耳を装着している方
- 体内に金属製の医療器具が入っている方(整形外科手術後の金属など)
検査中は狭いトンネル状の装置の中に入り、じっとしている必要があります。また、装置が動作する際に大きな機械音がします。閉所恐怖症の方や音に敏感な方は、事前に医師や検査技師に相談することをおすすめします。
造影剤を使用する場合は、アレルギー反応が起こる可能性があるため、アレルギー体質の方は必ず事前に申し出てください。
CT検査の特徴と活用方法
CT検査は、コンピューター断層撮影検査のことで、X線を使って体内を連続的に撮影し、コンピューターで処理することで体を細かい輪切りにした状態の画像を作成します。
CT検査が得意とする評価範囲
MRI検査が骨盤内の詳細な評価に優れているのに対し、CT検査は全身の広い範囲を短時間で調べることができる点が特徴です。
CT検査の主な目的は以下の通りです。
- リンパ節転移の有無の確認
- 肺への遠隔転移の検出
- 肝臓、膵臓、脾臓など腹部臓器への転移の確認
- 骨盤外への病変の広がりの評価
腫瘍そのものを詳しく観察するというよりも、がんが体の他の部位に転移していないかを広範囲にわたって調べるために用いられます。
造影CT検査について
より詳細な情報を得るため、ヨード造影剤を静脈注射してCT検査を行うことがあります。造影剤を使用することで、血管やリンパ節、臓器の構造がより明瞭に描出されます。
ただし、造影剤によるアレルギー反応が起こる可能性があります。症状としては、吐き気、じんましん、けいれんなどがあります。過去に造影剤や薬物でアレルギー反応を起こしたことがある方は、検査前の問診で必ず医師に伝えてください。
CT検査の制限事項
CT検査はX線を使用するため、放射線被曝があります。そのため、妊娠中の方や妊娠の可能性がある方には、基本的に使用しません。
撮影時間はMRI検査よりも短く、通常5〜10分程度で終了します。
PET-CT検査の役割
近年、子宮頸がんの転移評価において、PET-CT検査が活用されるケースが増えています。
PET検査は、放射性フッ素を付加したブドウ糖液(FDG)を注射し、がん細胞がブドウ糖を多く取り込む性質を利用して、がんの位置や活動性を調べる検査です。これにCT検査を組み合わせたPET-CT検査では、がんの代謝情報と正確な位置情報を同時に得ることができます。
PET-CT検査が有用な場面
PET-CT検査は以下のような場合に特に有用とされています。
- 通常のCTやMRIで判断が難しいリンパ節転移の評価
- 遠隔転移の有無の確認
- 治療後の再発の早期発見
- 治療効果の判定
ただし、PET-CT検査にも限界があります。子宮頸がんそのものの初期診断には、細胞診が最も有効です。また、小さな病変(1cm以下)は検出が難しい場合があります。
PET-CT検査の費用は、がん検診として受ける場合は保険適用外となり、約10〜15万円程度かかります。ただし、がんが発見された場合は保険適用となり、1〜3割の自己負担で済みます。
膀胱や直腸への浸潤を調べる検査
子宮頸がんが進行すると、子宮頸部の近くにある膀胱や直腸などに浸潤していくことがあります。
膀胱・直腸への浸潤による症状
膀胱に浸潤した場合には、以下のような症状があらわれることがあります。
- 排尿困難
- 血尿
- 尿路閉塞
- 頻尿や残尿感
直腸に浸潤した場合には、次のような症状が起こります。
- 血便
- 排便障害
- 肛門痛や直腸痛
内視鏡検査の実際
これらの症状がある場合や、MRIやCT画像から膀胱や直腸への浸潤が疑われる場合には、内視鏡を使った直接観察が行われることがあります。
膀胱鏡検査では、尿道から細い内視鏡を膀胱まで挿入し、膀胱の内側の粘膜を直接観察します。浸潤がある場合は、粘膜の色調変化や腫瘤性病変が確認されます。
直腸鏡検査では、肛門から直腸に内視鏡を入れて、直腸粘膜の状態を観察します。
これらの検査により、画像検査だけでは判断が難しい粘膜への浸潤の有無を、より確実に評価することができます。
各検査の特徴比較
子宮頸がんの転移評価に用いられる主な検査の特徴を、以下の表にまとめました。
| 検査名 | 主な評価対象 | 利点 | 検査時間 | 放射線被曝 |
|---|---|---|---|---|
| MRI検査 | がんの大きさ、骨盤内の浸潤範囲 | 軟部組織の詳細な観察が可能、被曝なし | 15〜20分 | なし |
| CT検査 | リンパ節転移、遠隔転移 | 短時間で広範囲を評価可能 | 5〜10分 | あり |
| PET-CT検査 | リンパ節転移、遠隔転移、再発 | 代謝情報と位置情報を同時取得 | 約20分(前処置含めて2時間程度) | あり |
| 膀胱鏡検査 | 膀胱粘膜への浸潤 | 粘膜を直接観察できる | 10〜15分 | なし |
| 直腸鏡検査 | 直腸粘膜への浸潤 | 粘膜を直接観察できる | 10〜15分 | なし |
検査を受ける際の心構え
子宮頸がんと診断された後に行われる転移評価のための検査は、今後の治療方針を決定する上で非常に重要です。
複数の検査を受けることに不安を感じる患者さんもいらっしゃいますが、それぞれの検査には明確な目的があり、得られる情報が異なります。医師は、各検査で得られた情報を総合的に判断して、患者さん一人ひとりに最適な治療計画を立てます。
検査前の問診では、アレルギーの有無や既往症、体内に医療器具が入っているかなどを必ず正確に伝えてください。また、検査中に気分が悪くなったり、痛みを感じたりした場合は、遠慮せずにスタッフに伝えることが大切です。
進行期判定と治療方針の決定
これらの画像検査の結果をもとに、子宮頸がんの進行期(ステージ)が決定されます。
子宮頸がんの進行期は、国際産婦人科連合(FIGO)の分類に基づき、Ⅰ期からⅣ期に分類されます。がんが子宮頸部に限局していればⅠ期、骨盤壁まで浸潤している、あるいは骨盤リンパ節や傍大動脈リンパ節に転移があればⅢ期、膀胱や直腸の粘膜に浸潤しているか、小骨盤腔を超えて広がっていればⅣ期となります。
早期の子宮頸がん(Ⅰ期やⅡ期の一部)では手術が第一選択となることが多く、進行したがん(Ⅱ期の一部以降)では放射線治療と化学療法の組み合わせが選択されることが一般的です。
近年では、免疫チェックポイント阻害剤であるペムブロリズマブや、血管新生阻害剤であるベバシズマブなどの新しい治療薬も保険適用となっており、治療選択肢が広がっています。
検査結果の確認と今後の対応
各種画像検査の結果は、通常数日から1週間程度で判明します。結果説明の際には、医師から進行期や転移の有無について詳しい説明があります。
検査結果について分からないことや不安なことがあれば、遠慮せずに質問することが大切です。治療方針は患者さん本人の希望や生活状況も考慮して決定されますので、医師とよく話し合ってください。
特に、妊娠や出産を希望している場合は、子宮温存の可能性についても相談が必要です。早期の子宮頸がんであれば、子宮頸部の一部のみを切除する円錐切除術や、子宮頸部のみを広範囲に切除して子宮体部を温存する広汎子宮頸部摘出術などの選択肢もあります。
まとめ
子宮頸がんの転移の有無を調べるための検査には、MRI検査、CT検査、PET-CT検査、膀胱鏡・直腸鏡検査などがあります。
MRI検査は骨盤内の詳細な評価に優れ、CT検査は広範囲の転移評価に適しています。PET-CT検査は代謝情報を含めた総合的な評価が可能で、膀胱鏡・直腸鏡検査は隣接臓器への浸潤を直接確認できます。
これらの検査結果をもとに進行期が決定され、患者さんにとって最適な治療方針が選択されます。検査を受ける際は、医師や検査スタッフの説明をよく聞き、不安なことがあれば遠慮なく質問することが大切です。
早期発見・早期治療によって、子宮頸がんの予後は改善します。定期的な検診を受けることで、早い段階で発見できる可能性が高まります。

