06.食道がん

食道がんの手術前の準備と検査

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食道がんの手術前の準備と検査

食道がんの手術、特に開胸と開腹を行う手術は、消化器がんの中でも最も体へのダメージが大きい手術です。最近の手術手技、麻酔手技や術後管理などの進歩により、食道がんの根治術の安全性は高まってきましたが、現在においても術後合併症の発生率や手術死亡率は、ほかのがんに比べて高率です。

また、食道がんの好発年齢は60~70歳の高齢者層です。これらの年齢層がいろいろな生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)を有している割合は高いです。そのため、食道がんの手術を受けるには、患者の重要な臓器の機能を評価して、慎重に決定されることが望ましいといえます。

具体的に患者の身体的な状態を表すために次のような指標「活動状態((パフォーマンスステータス))」が用いられています。

■活動状態(パフォーマンスステータス)

パフォーマンスステータスとは、すべてのがんの患者さんの全身状態を総合的に評価するうえで、簡便かつ有用な指標として用いられているものです。

<活動状態(パフォーマンスステータス)の分類>

・0
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえる。
・1
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできる。例えば軽い家事事務など。
・2
歩行や身の回りのことはできるが、ときに少し介助が必要なこともある。軽労働はできないが、日中の50%以上は起居している。
・3
身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床している。
・4
身の回りのこともできず、常に介助が必要で、終日就床を必要としている。

■食道がん手術を受けるための検査

・肺機能検査
食道がんの危険因子として加齢、喫煙歴がありますが、食道がんの患者さんは慢性閉塞性肺疾患(COPD)の既往があることが多いです。肺機能が著しく低下している場合には、開胸の手術が難しいことがあります。

・心機能検査
心不全、重症な不整脈、心筋梗塞発症後3か月以内の既往がある場合には、原則として手術は行いません。安静時および運動負荷心電図を行い、何らかの異常所見が認められる場合には、ほかの心機能検査(心エコーや心臓カテーテル検査など)を行い、手術を行うかについては再度、検討が必要となります。

・肝機能検査
重症肝炎や劇症肝炎の状態では、原則として手術は困難で行わないことが通常です。慢性肝炎や肝硬変の患者さんで、肝機能障害が著明な場合には、肝不全の可能性があり、手術が難しいことがあります。

・腎機能検査
腎機能低下だけで手術ができないことはありません。しかし、腎機能が著明に低下している場合には、手術後に腎不全になると、人工透析が必要となることもあります。

・耐糖能検査
糖尿病の患者さんや、耐糖能が低下している場合には、手術前から十分な血糖の管理を行いますが、手術後にも厳密な管理が必要です。

■その他、食道がん手術に対する配慮

急性期の脳血管障害の状態では一般的には手術は行いません。精神疾患のある患者さんは、手術前に精神科医の専門的評価を受けることが望ましいです。一般に食道がんの手術を行う前には、手術による合併症を予防する目的で訓練や調整を行います。

呼吸機能訓練として、トライボールやスーフルという呼吸機能を向上させる器具を用いた訓練を手術が決まった日から行います。喫煙は当然中止します。飲酒も発がんのリスクですからやめるべきです。

日常は今までと同じように生活していても問題ありません。散歩などの運動の習慣がある人も、ない人も自分のできる範囲で軽い運動を継続することが奨励されています。

また、口腔内をきれいにすること(口腔ケアといいます)で、術後の肺炎などの合併症を予防できることが報告されています。歯周病や虫歯がある人は担当の医師と相談のうえ、歯科で診断治療してもらうことが望ましいです。

糖尿病の人は手術の前後で今まで以上に厳重な血糖の管理を必要とします。また、ほかにも持病のある人の場合は、手術前後で病気のコントロールをする必要があることもありますので、担当の医師に相談しましょう。

以上、食道がんの手術についての解説でした。

食道の手術は体に大きなダメージを与えます。そして、手術をして終わりではなく、再発するケースも多いのが現実です。

今後、どのようなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

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