16.前立腺がん

前立腺がんのグリソンスコアとリスク判定

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前立腺がんのグリソンスコア

■前立腺がんがわかったら、がんの「顔つき」を調べます

前立腺のがんが疑われる部分に針を刺して組織を調べる「針生検」で採取した組織にがんが確認され、がんであることが確定したら、同時にそのがんがどれくらい悪いタイプであるかを調べます。この分類はリスク判定に欠かせない指標です。一般にはがんの「顔つき」「タチ(性質)」ともいわれているものです。

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顔つきとは、文字どおりがんがどんな顔をしているか、顕微鏡で見えるがんの組織像をよく観察して、判断します。判断のポイントは、正常な組織とがん細胞の形状や配列がどのくらい異なっているかです。

正常な組織(細胞)と異なっていればいるほど悪性度が高くなり、それほど異なっていなければ悪性度は低いと判断します。正常とかけ離れた顔をしていれば再発や転移を起こしやすい悪性度の高いタイプ、正常によく似た顔なら悪性度の低いタイプということになります。

ただし、実際には、組織を構成している一つひとつの細胞が一様に同じ顔つきをしているわけではないので、どんな割合で分布しているかといった全体像をよく観察しそのバランスで判断することになります。

■前立線がんに特有の分類法「グリソン・スコア」とは

前立腺がんでは、がんの悪性度をグリソン・スコアという特有の分類法によって表します。組織全体の形態を、おもに前立腺がんの腺構造と増殖パターンによって5段階に分け、1~5にスコア化(点数化)するものです。

採取した組織のなかで、もっとも大きな面積を占めるパターンのスコアと、2番めに大きなパターンのスコアを合計したものがグリソン・スコアとなります。2番めのパターンの面積がとても小さい場合(5%以下)は、1番めのスコアを2倍します。

結果的にグリソン・スコアは2~10までのスコアで表されます。現在、針生検で採取された組織が2~4と判定されることはありません。これは、2005年に開かれた泌尿器科病理学の専門家による国際会議で検討され決められたものです。

この国際判定基準に従っていれば、判定結果は必ず5以上、4以下のスコアがつくことはありません。リスク判定は前立腺がんの治療方針を大きく左右するものなので悪性度の判定には、この基準にのっとったグリソン・スコアが用いられるべきだといえます。

もし、針生検の結果、患者サイドに伝えられたグリソン・スコアが2~4と判定されたら、新しい判定基準に従っていないことになります。

■グリソン・スコアはリスク分類の指標となる

グリソン・スコアとリスク分類の関係はおよそ5、6が低リスク、7が中リスク、8以上なら高リスクとなります。先のPSA値と合わせてリスク分類の指標とします。

前立腺にがんが見つかり、そのがんが前立腺部にとどまっていたら、みつかった時点でのPSA値やグリソン・スコア、次項の直腸診によってリスク分類を行い、そのリスクの程度によって治療法を検討していくことになります。

■直腸診でがんの広がりをチェックします

前立腺がんにおける直腸診は、前立腺がんの広がりぐあい、進行度を調べるのに有効です。実際には、針生検の前に行われ、がんの可能性を判断する役割もあります。

泌尿器科の専門医であれば、触った感触から、前立腺の大きさや硬さの変化、直腸側の表面の状態(崩れて凸凹になっていないか)、その他、がんによると思われる病変の有無や(精嚢への)広がりなどを判断することができます。ただし、医師の熟練度が問われます。

がんの広がりについては、国際対がん連合(UICC)がTNM分類を作成しており、この2002年版が現在の世界標準となっています。TNMはそれぞれTumor(腫瘍、原発巣)、Nodes(リンパ節)、Metastasis(転移)を意味しています。触診によって得られるデータからは、T分類を判定します。

前立腺がんの治療方針を考える場合、がんの広がりは非常に重要な条件となります。がんの広がりによって根治を目指せるか、目指せないか、治療は大きく2つに分かれます。がんが前立腺部にとどまっていれば根治を目指すことができ、明らかに前立腺以外にまでがんが広がってしまえば(局所進行がん、転移がん)、根治は難しくなります。

つまり、根治を目指せるかどうかに大きくかかわるT分類は、おおまかには、がんが前立腺のなかにあって、触診でまったく触れないものがT1、触れるようになるとT2、前立腺の外に出できたらT3、隣接するほかの臓器にまで広がっていたらT4となります。リスク分類上は、T1~T2なら低リスクの可能性があり、T3なら高リスクに入ります。

PSA値、グリソン・スコア、直腸診の3つの指標で、前立腺部にとどまっているがんのリスク分類を行いますが、最終的なリスク分類は次のように分類されます。

<前立腺部にとどまっているがんのリスク分類>

・低リスク
T1~T2aでグリソン・スコア5~6、さらにPSA10ng/ml未満

・中リスク
T2bあるいはグリソン・スコア7、あるいはPSA10~20ng/ml未満

・高リスク
T2c(T3a)あるいはグリソン・スコア8~10、あるいはPSA20ng/ml以上

さらにリンパ節に広がっていればN分類、骨など、隣接しない他の臓器にまで広がっていたらM分類が採用されます。N分類やM分類は、骨シンチグラフィーやCT(コンピューター断層撮影)などによって判定されます。

以上、前立腺がんに関する解説でした。

がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

納得できる判断をするためには「正しい知識」が必要です。

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