がん専門のアドバイザー、本村です。
非小細胞肺がんのうち「ALK融合遺伝子陽性タイプ」向けの治療薬として開発、承認されたのがジカディア(一般名セリチニブ)です。
カプセルタイプの飲み薬で、1日1回、750mgを空腹時に飲みます。この薬の副作用と効果について解説したいと思います。
ジカディアの副作用
開発会社のノバルティスファーマの報告によると、国際共同第二相試験(最終の一歩手前の治験)と第三相試験(最終治験)での副作用の内容と発生確率が示されています。
国際共同第二相試験で確認された副作用と発生確率
(対象は140名。日本人を24名含む)
悪心 111名(79.3%)
下痢 110名(78.6%)
嘔吐 85名(60.7%)
肝機能ALT増加 61名(43.6%)
肝機能AST増加 52名(37.1%)
食欲不振 50名(35.7%)
疲労 41名(29.3%)
体重減少 35名(25.0%)
腹痛 33名(23.6%)
などが主な副作用になります。その他少数ですが重篤な副作用としては、
肺炎 5名(3.6%)
心膜炎 3名(2.1%)
呼吸困難 2名(1.4%)
などがあります。
国際共同第三相試験で確認された副作用と発生確率
(対象は115名。日本人を11名含む)
下痢 73名(63.5%)
悪心 70名(60.9%)
嘔吐 55名(47.8%)
肝機能ALT増加 48名(41.7%)
肝機能AST増加 41名(35.7%)
食欲不振 38名(33.0%)
疲労 20名(17.3%)
などが主な副作用として報告されています。その他少数ですが重篤な副作用としては、
肺炎 3名(2.6%)
心膜炎 2名(1.7%)
呼吸困難 1名(0.9%)
などがあります。
日常生活においては、気分が悪くなり吐き気がする状態を自覚することが多い薬だといえます。食べられないうえに下痢の副作用発生頻度が高いのでおのずと体重も落ちやすい傾向にあります。
ふだんから気分の悪さを訴えている人や、食欲がなく下痢気味の人はダメージを受けやすいので注意が必要になります。
なお、薬を飲むと肝臓に負担がかかるため肝機能が阻害され、ALTなどの値が上昇すると考えられます。
その他の脱毛や皮膚疾患、味覚障害など身体的に影響が出る副作用はほぼ起きない薬ですので、従来の抗がん剤に比べると副作用の影響は比較的小さいといえるでしょう。
ジカディアの効果
国際共同第二相試験(対象は140名。日本人を24名含む)における効果の報告は次のとおりです。
奏効率
140名のうち、完全奏功(CR)が3名(2.1%)、部分奏功(PR)が49名(35.0%)となっており、奏効率(CRとPRの合計)は37.1%となっています。
なお、奏功するまでの期間、つまり効果が現れるまでの時間は「およそ82%の人が2か月未満で奏功があった」としています。
脳転移に効果あり
対象者140名のうち20名に脳転移が認められていました。
20名のうち完全奏功(CR)が2名、部分奏功(PR)が5名と報告されており、奏効率は35.0%となります。これはジカディアには脳転移に対しても効果があるだろうといえる結果がみられた、ということです。