紫外線の影響でオーストラリアでは皮膚がん患者が急増し、今日では幼児期から日焼け止めクリームを塗るのを徹底して行っているほどです。
もちろん紫外線の影響はオーストラリアだけの問題ではなく、全世界的な問題で日本にも影響はでており、皮膚がん患者は確実に増加しています。日本では年間約1万人以上は発症していると推測されています。皮膚がんの死亡者数も右肩上がりで2000年が986人、05年は1207人、そして10年は1404人となっています。
紫外線によって影響を受ける皮膚は、光老化といわれるように、日焼け、シミ、シワを作り皮膚の老化は早まってしまいます。そのようにダメージを受けた皮膚には皮膚がんが発生しやすいといえます。
皮膚がんの発生する皮膚は体を外界から守っており、その構造は外側から「表皮」「真皮」「皮下組織」の3つの層からできており、その下は筋層です。その表皮をより詳しくみると、外側から「角質層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」の4つの層でできています。
そして、代表的な皮膚がんとしては「基底細胞がん」「有棘細胞がん」「メラノーマ'悪性黒色腫)」「パージェット病」などがあります。
表皮の基底層の細胞に似た細胞から発生するのが基底細胞がん、有棘層の細胞から発生するのが有棘細胞がん、メラノーマはメラノサイトのがん化で、メラノサイトとは紫外線から身を守るメラニン色素を作る細胞です。パージェット病は陰部の表皮にできやすく、分泌腺の細胞ががん化したものです。
最も患者数の多いのが基底細胞がんで、皮膚がんの約25%を占めているといわれ、50代以降から患者は増え始めます。基底細胞がんの大きな特徴としては、80~85%は顔にできるのです。それも額、目の周りや鼻の周りといったところに多くできます。ホクロととてもよく似ています。
基底細胞がんの基本的な成長過程はまず黒い点のようなホクロがゆっくり成長し、それと共に徐々に盛りあがり、ホクロの中央部がえぐれ、ただれてきて傷のようになります。この段階になると、顔を洗ってタオルで拭いたときに、タオルに血液が付着することがあります。にじむ程度の出血です。また、ごくまれにですが、肌の色と同じ基底細胞がんもあります。
基底細胞がんの多くは転移しませんが、がんと気付かずに放っておくと、そのままどんどん大きくなってしまいます。筋肉にがんが達し、骨にまで達してしまうと、手術は大がかりなことになります。やはり早期発見、早期治療が重要だといえます。
以上、皮膚がんについての解説でした。