・一般名:マイトマイシンC
・商品名:マイトマイシン
・投与経路:静注、動注、膀胱内、髄腔内、胸腔内、腹腔内
・血管外漏出による皮膚障害のリスク:高
・催吐リスク:軽
<特徴>
作用機序:DNA上に架橋を形成することでDNAの分裂を阻止すること、フリーラジカルによりDNA鎖を切断して複製を阻害することで、抗腫瘍効果を発揮する。
代謝経路:主に肝代謝、尿中排泄
<代表的なレジメン>
肛門がん:フルオロウラシル+マイトマイシンC療法(放射線療法と併用)
非小細胞肺がん:MVP療法(放射線療法と併用)
0~Ⅰ期の膀胱がんで再発リスクの高い症例:膀胱内注入療法
・使用時の注意点
投与方法:静注、動注、膀胱内、髄腔内、胸腔内、腹腔内
投与量の調整が必要になる場合:総投与量が60mg/m2以上に達すると、溶血性尿毒症症候群(発症すると致死率が高い副作用)の頻度が高くなるので、重篤な腎機能障害がある場合は、中止する。
慎重投与:肝・腎機能障害、骨髄機能抑制、感染症の合併、水痘
併用注意:ビンデシンなどビンカアルカロイド系抗がん薬
・重大な副作用
溶血性尿毒症症候群
重篤な腎機能障害
・その他注意が必要な副作用
血管外漏出
骨髄抑制
・投与に関するポイント
注射部位の皮膚に発赤・潰瘍形成が起こりうる(時に注射部位から離れた部位にも起こる)。これらの症状が、数週~数か月後に生じることもあるので、抜針後も注射部位の観察を継続し、症状が出現したら病院に連絡する。
血球成分が最低値に達するまでの期間が長い(4~5週間)のが特徴。感染予防行動、外傷(出血など)に十分注意する。
膀胱内注入の場合は、排尿によってマイトマイシンCが排泄されるため、抗がん薬による曝露対策が必要である。男性が洋式トイレで排尿する場合は、トイレの周囲の汚染防止のため便座に座って排尿する。
マイトマイシンCは、溶解すると紫色になる。膀胱注入の場合、排尿時に紫色の尿が出るため驚くことがある。排尿が紫色になることを事前に知っておく。