・一般名:エピルビシン塩酸塩
・商品名:ファルモルビシン、ファルモルビシンRTU、エピルビシン
・投与経路:静注、肝動注
・血管外漏出による皮膚障害のリスク:高
・催吐リスク:中
<特徴>
作用機序:腫瘍細胞のDNAと結合し、DNAポリメラーゼ反応とRNAポリメ ラーゼ反応を阻害して、DNA-RNA生合成を抑制し、抗腫瘍効果を示す。
代謝経路:主に肝代謝、胆汁排泄と推定される(一部は尿中排泄)。
<代表的なレジメン>
乳がん術前・術後:EC療法、FEC(CEF)療法
肝がん:肝動注療法
乳がん転移・再発:EC療法
・使用時の注意点
投与方法:点滴静注または肝動注。他の薬剤との混注は避ける。
投与禁忌:他の心毒性を有する薬剤(アントラサイクリン系薬剤など)による前治療が限界量に達している患者。肝動注の場合、ヨードアレルギー、重度の肝機能障害や甲状腺疾患、総ビリルビン≧3mg/dLは投与禁忌。
慎重投与:骨髄機能抑制、感染症、間質性肺炎または肺線維症、肝・腎機能障害、高齢者、水痘
前投薬:中等度催吐性リスクに分類されるため、5HT3受容体拮抗薬+デキサメタゾンの使用が推奨される。
※多剤併用で高度催吐性リスクに分類される場合がある。
・重大な副作用:減量・休薬が必要となるもの
骨髄抑制
間質性肺炎
心筋障害
胃・十二指腸潰瘍
・その他注意が必要な副作用
脱毛
悪心・嘔吐
血管外漏出
食欲不振
ALT、AST上昇
・投与に関するポイント
白血球・好中球の低下に伴う感染リスクがある。感染予防行動が奨励され、症状出現時には医師に報告すること。
血管外漏出を予防するため、投与中は安静にする。治療前には、排泄を行う。脱毛が出現しやすいためウィッグやキャップの利用など、生活に合わせたセルフケアが必要。
乳がん術後などでは、リンパ浮腫などの影響を考慮する。