・一般名:シクロホスファミド水和物
・商品名:エンドキサン
・投与経路:点滴静注、静注、経口
・血管外漏出による皮膚障害のリスク:中
・催吐リスク:中~高
<特徴>
作用機序:主に肝代謝酵素CYP2B6で代謝・活性化された後、がん細胞のDNA合成を阻害し、抗腫瘍作用を現す。代謝経路:腎臓を経て尿中に排泄される。
<代表的なレジメン>
乳がん:AC、EC、TC、FEC(CEF)
悪性リンパ腫:R-CHOP、CHASE
同種造血幹細胞移植の前治療:TBI-CY、BU-CY
・使用時の注意点
投与方法:点滴静注、静注、経口
溶解(注射剤):本剤100mgあたり5mLの生理食塩液か注射用水を加えて溶解。ワンショット静注の場合は注射用水を使用しない(溶液が低張となるため)
慎重投与:肝・腎機能障害骨髄抑制、感染症合併、水痘、高齢者、造血幹細胞移植患者では膀胱障害
併用禁忌:ペントスタチン
併用注意:アロプリノールや放射線照射、フェノバルビタール、インスリン、アントラサイクリン系薬剤、グレープフルーツ
前投薬:催吐リスクに応じた制吐薬を予防的に使用。造血幹細胞移植の前処置時には、1日3L以上の補液とメスナを併用。
・重大な副作用:減量・休薬が必要となるもの
アナフィラキシーショック
肺毒性:びまん性肺胞障害、間質性肺炎
出血性膀胱炎
イレウス
心筋障害
肝機能障害
静脈閉塞性肝疾患
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群
・その他注意が必要な副作用
性機能障害:造血幹細胞移植の前処置、卵巣を含む外部放射線照射、40歳以上の乳がんADJへのFEC6コースなどが高リスク(>80%)。
二次がん:投与終了後も長期的なフォローアップが必要
・留意点
腎機能障害予防として長時間かけて補液すること、2日目以降の積極的な飲水が推奨される。
投与中から嗅覚刺激症状(鼻がツンとする、コメカミが痛い、など)を自覚する患者もいる。特に処置は不要で、投与終了後数時間で自然に軽快することが多い。
なお、国際がん研究機関(IARC)により「発がん性を示す」分類にされている。23℃で揮発すると報告されているため、使用時は抗がん薬の飛散防止策として閉鎖式薬物混合システム(ファシール・ケモクレーブ・ケモセーフ)を用いることが推奨されている。