肝臓は"沈黙の臓器"と呼ばれるように、あまり「痛い」「苦しい」などの症状が現れません。だからこそ、肝炎検診などで定期的に肝臓の状態をチェックすることが要であり、異常があれば精密検査を受けることが大切です。
精密検査で肝臓がんと診断されると、その時点でがんの進行度、いわゆるステージ(病期)の評価が必要となります。患者それぞれに適した最適な治療を選択するために、ステージなど体の状態を知ることはとても重要です。
そのポイントは以下の3点になります。
①肝臓がんの状態
②リンパ節転移の有無。
③離れた臓器への転移の有無。
この3点でステージⅠ~ⅣBまでが決まります。
肝臓がんのステージ分類は次のとおりです。
・Ⅰ期
がんの大きさは2センチ以下で数は1個、肝臓内の血管へがんは広がっていない。リンパ節転移も離れた臓器への転移もない。
・Ⅱ期
下の条件分類(A:B:C)の中の2つがあてはまる。リンパ節転移も離れた臓器への転移もない。
※条件分類「A:がんの大きさが2センチ以下)。B:がんの数が1個。C:肝臓内の血管にまで広がっていない」
・Ⅲ期
同じく条件分類の中の1つがあてはまる。リンパ節転移も離れた臓器への転移もない。
・Ⅳa期
条件分類が条件はすべてあてはまらない。リンパ節転移も離れた臓器への転移もない。あるいは、条件に関係なく、リンパ節に転移している。
・Ⅳb期
条件に関係なく、離れた臓器に転移している。
他臓器ではこのステージ分類がきわめて重要ですが、肝臓がんの場合は治療後に残った肝臓が体に必要な働きを十分行ってくれる点も重視します。つまり、肝機能障害の状態です。これを評価する肝障害度が点数化され、それによって軽度からA「自覚症状がない」、B「たまに症状を自覚する」、C「いつも症状がある」に分けられています。ステージと肝機能障害度で適切な治療法を選択することになります。
以上、肝臓がんについての解説でした。