子宮頸がんは早期から子宮を摘出する手術が標準治療の中心です。また、Ib期以降はリンパ節転移など、何かリスクファクターがある場合は、手術のあとに放射線療法を行ったり、抗がん剤も加えた化学放射線療法を行ったりします。
いっぽう、がんが膣壁の下3分の1を超えたり、骨盤壁に達したりしているステージⅢ期となると、手術は行われれず、放射線療法が中心となります。子宮頸がんは放射線のよく効くことが分かっています。アメリカではⅡb期となると身体的ダメージの大きい手術は行わずに放射線で対応します。
子宮頸がんの治療で行われる放射線治療は次のような種類があります。
外部照射
体の外側から放射線を照射する最も一般的な放射線療法です。CT(コンピュータ断層撮影)によってどこにどれだけ照射するか治療設計を行い、治療します。1回の治療は15分程度で終了し、これを週5日5~6週間行います。
膣内照射
膣から放射線の線源を入れて行う放射線療法です。膣から子宮腔内にまで線源を入れて放射線を照射し治療を行います。膣内照射は単独で行うのではなく、外部照射と組み合わせて行われることが一般的です。照射回数は週に1回を3、4回行い、時間は1時間程度です。
このほか、Ⅲ期でもがんの大きい人の場合には先進医療である「重粒子線治療」を選択する患者さんもいます。
またⅢ期では、放射線単独ではなく、同時に化学療法(抗がん剤治療)を行うことが標準治療として行われています。
子宮頸がんで使われている抗がん剤は、「シスプラチン」を筆頭に、「パクリタキセル」「イリノテカン」「イポスファミド」「ビンクリスチン」などがあります。
そして、膀胱や直腸の粘膜にがんが広がっているⅣa期や、遠い臓器に遠隔転移しているⅣb期となると、より厳しい状況になります。Ⅳa期は同時化学放射線療法が標準治療で、Ⅳb期になると積極的ながん治療を行うことは少なく、緩和ケアが中心となります。
以上、子宮頸がんの治療についての解説でした。