ホルモン療法の効果は一時的なもので、2~10年ほどで効かなくなることがわかっています。それなら、効かなくなるのを少しでも先に延ばせないかということで考え出された新しい試みが、間欠療法です。
また、通常のホルモン療法の副作用として、性機能障害や骨粗しょう症、貧血などがあげられます。間欠療法では、治療を休むことで、このような副作用を軽減することもできます。
具体的な方法は、LH-RHアゴニストなどの効果によって血液中のPSA値が下がったら、いったん薬の使用をやめます。そうするとしばらくして、低下していたPSA値が再び上昇してきます。
PSA値10~15ng/mlをおよその目安として(病状によって違います)、そこまで上昇してきたら、またホルモン薬による治療を始めます。これを繰り返すのが基本的なやり方です。
投薬期間や休止期間は数カ月単位で、これと決められた期間はありません。数カ月治療を休むといっても、何もしないわけではなく、1~3カ月ごとにPSA値をはかります。知らないうちにがんが進行していたということがないよう、医療側も配慮します。
まだ確立されていないが・・・
間欠療法は、いつ治療を休止し、いつ再開するかなど、はっきりしたエビデンス(根拠)がなく、まだ確立されていない治療法です。しかし、患者さんの症状に合わせて、何カ月治療したり、休止したりすればよいかなどを計算できるようなシステムを開発する動きもあります。
間欠療法は、患者さんの身体的負担も少なく、休止期間中は薬代もかからないため、経済的にもやさしいといえます。治療例が増えてくれば、これからもっと重要視される可能性があります。
間欠療法のメリットとデメリット
<メリット>
・アンドロゲン依存性の期間を長く保てる。それによって、生存期間を延長できる可能性も
・性機能障害を軽減できる
・休止期間があることで、身体的、精神的にも楽
・休止期間中は薬代がかからないので、従来の治療を継続する方法よりも治療費が安くあがる
<デメリット>
・PSA値をこまめにはからなければならない
・休止中に、病気が進行する可能性もゼロではない
・治癒可能ながんに対して、不完全な治療につながるリスクがある
・やり方や有効性に一定の見解がない
間欠療法が検討される人
・ホルモン感受性がある人
・前立腺全摘除術や放射線療法後に再発して、ホルモン療法を行う場合、ホルモン療法の副作用を回避したい
・大きな経済的負担を避けたい
以上、前立腺がんの間欠療法についての解説でした。