手術で切除した部位の近辺にがんが発生することを「局所再発」と呼び、がんが卵巣から離れた組織にできることを「遠隔転移」と呼びます。
卵巣がんは骨盤内で再発する「局所再発」も多いですが、骨盤外へ転移するケースも多く見られます。「遠隔転移」しやすい部位はリンパ節、肺、肝臓、骨、脳などです。
再発がんは総じて治療が難しく、医療行為での根治の可能性は低くなります。特に卵巣がんは、手術などでいったん目に見えるがんが消えても3年以内に再発するものが7割に上ります。
卵巣がん再発時には初回とは抗がん剤を変える
再発した卵巣がんでは、初回に使用した、たとえばTC療法などの抗がん剤は効きにくくなります。このためセカンドラインといい、ほかの多剤併用か単剤使用を新たに開始します。
セカンドラインの治療では、初回投与終了から再発までに、6か月以上経過しているか否かが目安になります。
再発までに6か月以上経過したときは初回の化学療法は効果がそれなりにあったと判断されます。そのためセカンドラインでも、初回に投与した抗がん剤か類似のものを、もう一度使用するのが一般的です。
これに対して、再発が6か月未満のときは、別の抗がん剤に切り替えます。
現在、プラチナ製剤を含む多剤併用療法(カルボプラチン+パクリタキセル併用療法、ゲムシタビン+カルボプラチン併用療法、カルボプラチン+リポソーム化ドキソルビシン(PLD)併用療法のいずれか)が行われます。
再発した卵巣がんは、子宮体がん同様に治療が難しく、根治の可能性が低くなります。そのため、さまざまな手立てを行います。
たとえば、単発の再発なら、骨盤内のみならず、肺や肝臓でも、手術による切除が可能なケースはこれを実施する場合もあります。そのほか症状を改善するための、各種治療法も行います。
その他、試験的な治療として様々な細胞免疫療法や標的治療などがありますが、保険診療ではなく、自由診療(私費)での治療となります。しかし、すべての治療が効果を上げない終末期にいたることも出てきます。
そのときは治療の目的を根治から、症状を緩和し、QOLの向上に切り替えます。痛みに対しては放射線や鎮痛剤による緩和療法を行います。
以上、卵巣がんの再発時の治療法についての解説でした。