食道がんのステージ(病期)Ⅱ期、Ⅲ期となるとどのような治療が行われるのでしょうか。
2012年4月に出された食道がん治療のガイドラインでは、抗がん剤を手術の前に行ってから手術を行う「術前化学療法」プラス「手術」が標準治療となりました。
基本的に食道がんのⅡ期、Ⅲ期は手術を中心とした治療になります。1990年代の食道がんのⅡ期、Ⅲ期の治療は「手術単独」、もしくは「術後化学療法」でした。
術後化学療法は、食道がんを手術した後に抗がん剤治療を行う方法です。患者は手術の後なので体力がかなり落ちています。体力が低下したなか、副作用の強い抗がん剤での治療をするのはたいへんリスクがある治療法でした。
とはいえ、術後化学療法を受けた患者の方が再発が少ないことは事実でした。
こうした背景から、術後に化学療法を行うケースが増え、次のステップとして、抗がん剤を手術の前に行うケースと手術の後に行うケースで比鮫することになったのです。
結果は、術前化学療法のほうが優れていた、ということでした。なぜそうなったのか、理由は大きく2点考えられます。
第1は、患者の体は術前の方が抗がん剤を行いやすいという点です。比較的元気なときに抗がん剤で小さな転移を消しておいて手術するということです。そして第2は、がんが体の中にあるうちに(手術の前)に抗がん剤を投与することによって、その効き目が明らかになり、その後の治療方法の参考になるからです。
そのため現在、Ⅱ期、Ⅲ期の食道がんでは「化学療法(抗がん剤)」を行ってから「手術」を行うのが標準治療とされています。もちろん、患者の状態に合わせた個別化医療も行われています。
以上、食道がんの治療についての解説でした。