乳がんで「乳房全摘出+術後抗がん剤治療+ホルモン療法」を受けた場合の治療費についてモデルケースを提示します。
実際の医療費は病状や施設によって異なりますが、参考にはなると思います。
乳房全摘出+術後抗がん剤治療+ホルモン療法の治療費(モデルケース)
・病状
閉経前の30歳代の女性。しこり5cmの浸潤がんで、リンパ節転移あり。ホルモン受容体陽性、HER2陰性。
・治療方針
乳房切除術(全摘)の後、化学療法とホルモン療法(抗工ストロゲン剤+LH-RHアゴニスト製剤)を行う。乳房再建術を検討。
・治療経過
入院翌日に乳房切除術とリンパ節郭清を行い、術後5日目に退院。入院6泊7日。
手術後、抗がん剤治療としてFEC 4サイクル+パクリタキセル 4サイクル。閉経前のため、抗工ストロゲン剤+LH-RHアゴニスト製剤の併用を5年間行う。
治療費の概算(自己負担額(3割)の金額)
概算費用 | 治療スケジュール | |
手術+入院 | 260,000円(センチネルリンパ生検含む) | 入院6泊7日 |
抗がん剤治療 | FEC 32,230円×4回=128,920円 パクリタキセル(毎週)12,231円×12回=146,772円 計275,692円 |
FECは3週間に1回の点滴を約3か月。 パクリタキセルは週に1回の点滴を約4カ月。 |
ホルモン療法 | ノルバデツクス 年間36,900円×5年。 =184,500円(1か月あたり3,075円) リュープリン 22,800円×20回=456,000円 計640,500円 |
ノルバデックスは1日1回内服を5年間、 リューブリンは3か月に1回の注射を5年間。 |
合計金額:1,176,192円
抗エストロゲン剤はジェネリックにすると、年間約29,000円になります。また、LH-RHアゴニスト製剤は5年間併用するのが標準治療ですが、患者の希望などにより2~3年でやめ、後は抗エストロゲン剤の内服だけにすることもあるため、ホルモン療法の額は上の表より安くなることもよくあります。
自家組織を用いた乳房再建術は保険適用となり、手術費の自己負担額再建で約13万円ですが、体への負担が大きいというデメリットがあります。人工乳房(インプラント)も2013年に保険適用となっており、その場合は乳の手術+エキスパンダー挿入術で25万円程度、インプラントに入れ替える手術が25万円程度ですが、入院期間などにより費用は変わってきます。
以上、乳がんの治療費についての解説でした。