がんとは、私たちの体を構成する細胞に異常が起こり、体が必要としていないのに細胞が分裂を続けて増殖し、発生した臓器や周囲の臓器に障害を与え、また血液やリンパの流れにのって離れた臓器にも新しい病巣を作り、体の維持に必要な栄養を奪い衰弱させる病気です。
がんは、もともとは自分の細胞が変化したものという点が、体外から侵入したウィルスや細菌によってもたらされた感染症と異なるところです。
がんの名前は、最初に異常を生じた細胞により構成される臓器に由来するのが一般的です。つまり、乳房を構成する細胞に異常が発生し、がんを発症したのが「乳がん」。そして、例えば乳がんの細胞が血液やリンパの流れにのって骨に病巣を形成(転移)したら「乳がんの骨転移」と呼ばれます。
骨に発生するがんは他にもありますが、乳がんから転移したがんは、乳がんの性格をもったまま骨で病巣を形成するため、骨がんとしてではなく、乳がんとして治療が行われます。
乳がんの原因とは
原因はいろいろ考えられています。紫外線や環境上の有害物質、喫煙、生活上の刺激などによって遺伝子に何らかのストレスがかかり突然変異を起こすもの、あるいはウィルスが発がんに直接かかわっているケースもあります。
もっとも、体は実によくできており、正常細胞が発がん因子にさらされたからといって1個の細胞からすぐにがんになるわけではありません。がんの増殖を促進する増殖遺伝子と抑制遺伝子があり、通常はこの二つの遺伝子がバランスよく機能しており、発症が抑えられているのです。
ところが遺伝子に傷がつく「イニシエーション」という段階で、恒常的に何らかのストレスがかかると、がん抑制のブレーキ機能がうまく作用しなくなり、プロモーション(促進)が始まります。
するとがんは増殖の一途をたどります。とはいえ、発がんしてから1cmの腫瘤になるまでに、10~20年もの歳月がかかっています。
以上、乳がんについての解説でした。
がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。
納得できる判断をするためには正しい知識が必要です。