肺がんが早期に発見されると、条件を満たせば「区域切除」という縮小手術が可能になっています。この場合、さらに内視鏡の一種である「胸腔鏡手術」で行えると、肺の機能をより多く残せるのみならず、体のキズも小さくてすみます。
ただ、この区域切除は肺の外側にできた場合が対象で、同じ早期がんでも太い気管支にできた中心型肺がんの場合は別の治療方法を選択しなければなりません。現在、気管支鏡を用いることにより、体にメスも入れず、キズも残さない手術ができるようになっています。
これを「光線力学的治療(PDT)」といいます。専用の薬剤と低出力レーザー光線を使って行う治療です。
肺がんのPDT治療では患者に前もってレーザー光線に反応しやすい特殊な腫瘍親和性光感受性物質「フォトフィリン」、または「レザフィリン」を投与しておきます。フォトフィリンはレーザー照射の48時間前、レザフィリンは4時間前です。光感受性物質が正常組織より数倍多くがん組織に集まるのを利用し、がん細胞をはっきりと目視します。
次に、特殊な気管支鏡の自家蛍光内視鏡を口から気管支に挿入し、光感受性物質により赤く染まったがん組織に低出力レーザーを照射します。赤い光が消失すると、治療は終了となります。
低出力レーザー光線は光感受性物質にあたると光化学反応を起こし、活性酸素が発生します。その活性酸素によってがんを死滅させるという方法です。
以上、肺がんのPDTについての解説でした。