膵臓がんに限らず、がんは常に再発する恐れが残るものです。
がんは細胞単位で発生するのですが、細胞の集合体である組織単位でがんを切除できたと思っても、目に見えないがん細胞が残ってしまうリスクがあります。
例えば、がんの転移に関しては、手術前にさまざまな検査を駆使して、その把握に努めますが、画像診断には限界があります。ごく小さなリンパ節転移の発見は不可能です。
そのため、手術で肉眼的には見える範囲をすべて取りきっても、再発することがあります。つまり、がんの再発とは、手術のときに発見することができなかった小さな「がんの芽」が、後になって大きくなってきたものなのです。
膵臓がんの手術では、再発を予防するために、がん細胞が潜んでいる可能性がある範囲のリンパ節を切除したり、手術に化学療法や放射線治療を組み合わせて、残ったがん細胞を消滅させたりすることで術後生存率を高めることを目指すのが一般的です。
膵臓には多くの血管が取り巻いており、血管を通してがん細胞が拡散しやすい性質があります。そのため、手術で膵臓を除去しても別の臓器にたどり着いたがん細胞が増殖して再発を起こす可能性も大きいのです。
膵臓がん再発の時期(再発のほとんどが手術後3年以内)
膵臓がんの治療で根治の可能性があるものといえば、今のところ外科手術のみといわれています。しかし、その外科手術で治療が終わったに見えても、90%くらいが3年以内に再発することが多いのが現状です。
いったん再発してしまうと、再度外科手術を行うことはほとんどの場合で不可能です。化学療法などでがんの進行を遅らせるのみとなります。これが医療行為の限界点だといえます。再発後の余命は短くて3か月、長くて1年前後といわれています。
膵臓癌の再発(遠隔再発)が起きやすい部位
膵臓がんと診断された人の約20%に肝臓やリンパ節に転移があります。そのほか、腹膜に転移したり、血流に乗って、肺や骨に転移したりすること(血行性転移)も珍しくありません。
最も再発が起きやすい部位は肝臓です。もともと肝臓には、腹部の各臓器から血液が流れ込みますので、血液を各臓器から集める性質があるため、血流に乗ったがん細胞の転移先になりやすいのです。
以上、膵臓がんの再発についての解説でした。