膵臓がんの疑いがある場合は、まずはじめに苦しくない楽な検査、つまり血液検査、腫瘍マーカーの検査、さらには腹部超音波検査を行います。
これらの診断で異常がみつかれば、さらに精密検査を行うことになります。
血液検査
血液検査(血液生化学検査)とは、血液を材料に体内の異常を調べる検査のことです。
この検査はとても重要な検査です。膵臓がんがあると膵液の流れが悪くなり、膵臓の酵素が血中へ逸脱するため、血中膵酵素(アミラーゼ、リパーゼ、エタスターゼーなど)の上昇が起こることがあります。
また、膵臓がんになると糖尿病が悪化することがありますので、血糖値の変動には十分な注意が必要となります。さらに、ビリルビン値が高かったり、肝機能異常を認める場合は、胆汁の流れ道である胆管になにか異常が疑われます(膵頭部がんの胆管浸潤など)。
腫瘍マーカー
体内に腫瘍ができると、健康なときにはほとんど見られない特殊な物質が、その腫瘍により大量につくられ、血液中にあらわれてきます。
この物質を腫瘍マーカーと呼びます。
血液検査をして、このマーカーとなる物質の血液中の濃度を測定することによって、腫瘍の存在を疑うことができます。がんの種類によって、異常を示す腫瘍マーカーの種類は異なります。膵臓がんの腫瘍マーカーにはCA19-9、CEA、Span-1、Dupan-2などがあります。
特にCA19-9は膵臓がんの代表的腫瘍マーカーであり、2cm以下の小さな膵臓がんでもCA19-9の陽性率は約50%に上ります。しかし、逆に言えば、膵臓がんがあってもCA19-9が陰性に出ることもありますので注意を要します。
また、胆嚢炎や胆管炎、胆管結石など、胆汁の流れ道になんらかの病気がある場合でも数値が高くなることもあります。こうなると、CA19-9の意味がわからなくなりますが、いずれにしてもCA19-9が非常に高い場合には膵臓がんの疑いが濃厚だということです。
以上、膵臓がんの血液検査についての解説でした。