筋層非浸潤がんに分類されるものには2つあります。
がん細胞の発育の方向が、膀胱の内側に向かって乳頭状の形態を示す「乳頭状がん」と、尿路上皮の内側だけに広がる「上皮内がん」(CIS)の2つです。
一般には、この上皮内がんの方が、がんとしての性格が悪く、治療を誤ると筋層浸潤がんに移行するだけでなく、転移の可能性も高いのが特徴です。
また、乳頭状がんといっても、さらに上皮内にがんの浸潤が留まるTaに分類されるものと、上皮下層まで浸潤したT1に分けて治療法が選択されます。両者の治療後の再発や転移の可能性も異なり、T1腫瘍の治療選択には特に注意を要します。
T1の場合は、腫瘍の取り残しの可能性や筋層浸潤を見逃している可能性があるので、もう1度TUR-Btを行ないます。このセカンドTUR-Btは最近では標準的治療になっています。
さらに、腫瘍の組織学的異型度や腫瘍のサイズ、数によっても、予後が変わってきます。どの診療ガイドラインにも、このような因子を総合的に取り入れたリスク分類が提唱されています。
再発時の対応が重要
筋層非浸潤がんの治療選択のポイントは、がん細胞を内視鏡で切りとった後の再発予防治療の選択と、再発したときの腫瘍の状況を吟味して、次の治療法を的確に選択することです。
筋層非浸潤がんでは、1度再発するごとに約10~30%程度が筋層浸潤がんに進展するといわれていますので、この兆しがないかどうかをよく見極める必要があります。これらの情報を参考にしながら、主治医と治療方針を決めていくことが重要です。
以上、膀胱がんの治療法についての解説でした。