最初にできた場所(原発巣)が分からないがんのことを「原発不明がん」といいます。発生場所が特定できないため手術や放射線療法は難しく、全身療法である薬物療法(抗がん剤などの薬をつかった治療)が医療行為の主体になります。
薬物療法の現状と治療方針は?
近年では検査技術の向上で原発不明がんと診断されることは減りましたが、それでもがん全体の数%を占めています。
治療は、転移がある状態で見つかることが多いことから、抗がん剤を用いた全身薬物療法が主体となります。症状や病理検査で分かったがんの性質やリンパ節転移の状況などから、原発巣の場所を想定し、そのがんの標準的な薬物療法が実施されるのが一般的です。
よく使われる薬は?
原発不明がんの約30%が未分化がんです。がんは通常、粘液などを分泌する細胞から発生する腺がん、上皮の一部からできる扁平上皮がんのように、発生した場所によって性質が異なります。
未分化がんや低分化がんはこうした特徴のないもので、原発巣を知ることが難しいがんです。未分化がんは特徴がまったくないもの、低分化がんは少しだけ特徴があることを意味します。
こうした未分化がんや低分化がんについては、プラチナ製剤が有効という報告があるため、これにさまざまながんに用いられているタキサン系を併用する「パクリタキセル+カルボプラチン療法」や「ドセタキセル+シスプラチン療法」が第1選択となります。
以上、原発不明がんの治療法についての解説でした。
がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。
納得できる判断をするためには正しい知識が必要です。