鼻や口、あご、耳、舌などにできるがんを総称して頭頸部がんといいます。様々なタイプがありますが、かかる人は女性より男性に多く、手術が主軸で薬物療法は補助的に行われます。
薬物治療の現状と治療方針は?
頭頸部がんの治療方針は、がんがある場所によっても変わってきますが、多くの場合、手術が第1選択になります。
ただし、手術で声を失ったり、ものが食べられなくなったり、顔が変形したりすることがあり、患者さんのQOL(生活の質)の低下につながっていました。
最近ではこうした問題をできるだけ防ごうと、手術によって欠損した部分を形成外科医が修復する再建術(体のほかの場所から皮膚、骨などの組織を移植して修復)がとられるようになっています。
また、手術と比較して機能的な問題が少ないことから、放射線療法も広く行われるよう
になってきています。
薬物療法は、手術や放射線療法を補うために実施されます。手術前に行う導入化学療法(術前化学療法)と、放射線療法と並行して進める同時化学放射線療法(CCRT)があります。遠隔転移がある場合は、化学療法が単独で行われます。
よく使われる薬
導入化学療法ではシスプラチンとフルオロウラシルの併用療法(CF療法)が標準治療ですが、これにドセタキセルを加えた「DCF療法」のほうが有効性は高いとされています。同時化学放射線療法、単独の化学療法では、シスプラチンが使われています。
以上、頭頸部がんの薬物療法についての解説でした。