皮膚がんの検査と診断方法
目視によって皮膚がんの疑いがあった場合、確実な診断を行うには、病理組織検査、つまり「皮膚生検」を行います。
これは、局所麻酔を行って、がんが疑われる場所の一部(メラノーマの場合は全体)を標本として切り取り、顕微鏡でくわしく観察するものです。がんと診断された場合、さらに大きく切除して、詳細に検査することもあります。
がんが周囲の組織に広がっているか、転移しているかなどを調べるために、病変部の近くのリンパ節を切除したり、さまざまな画像診断を行います。これらの結果に基づいて、治療方針が決められます。
皮膚がんの標準的な治療方法
メラノーマ以外の皮膚がん(基底細胞がんおよび有棘細胞がん)に対しては、がんを完全に取り除くことを目標として治療します。
最近では、顕微鏡下手術、凍結治療、レーザー手術などの新しい手術法によってがんの病巣を破壊し、手術後の外見があまり大きく変わらないようにすることもできます。手術後の傷が大きくなるときには、本人の背中や臀部の皮膚を移植することもあります。
これらの皮膚がんは、初期に発見して治療すれば、5年生存率は100パーセント近くなります。ただし、もっとも危険なメラノーマで、最初期に発見されなかった場合は治療法は異なります。
これは急速に広がる性質をもち、がんが生じた部位の周囲に何カ所か別のがん(衛星がん)が見られることが少なくありません。そこで、診断をかねて患部とその周囲を広く切除し、化学療法や放射線治療、免疫療法などを併用することになります。
メラノーマが近くのリンパ節まで広がっていると5年生存率は50パーセント以下、遠く離れた臓器に転移している場合には10パーセント以下です。
また治療を受けても、その後数カ月で再発しやすいとされています。メラノーマは例外的に、自然治癒するがんでもあります。これは人間の免疫力に関係していると見られるため、最近、いくつかの研究機関が相次いでおり、薬を使って免疫機能を回復するオプジーボなどの新薬も使われるようになりました。
以上、皮膚がんの検査と治療法についての解説でした。