腎臓に限局し、サイズの小さい早期の腎臓がんに対しては、ラジオ波熱凝固(RFA)という方法で腫瘍の消滅をねらうこともあります。
手術しないことで体調的に高リスクの人にも施行できることが特徴です。特に、T1aに相当する腎臓がんに対しては、手術に匹敵する成績が得られ、長期にわたる治療効果が期待できるとされています。
また、合併症も少なく、何度でも繰り返し治療が可能であることもラジオ波の利点であり、高齢化社会への移行とともに、ラジオ波熱凝固法が選択されるケースが今後増加していくものと考えられています。
ラジオ波熱凝固法とは
ラジオ波熱凝固(RFA)は細い電極針を腫瘍内に留置し、電磁波を流すことで組織内温度を上げ、腫瘍を壊死させる治療法です。治療装置は、肝臓がんなどでよく使われるもので特に特殊なものではなく取扱いも難しくないとされています。
腎臓がんに対するラジオ波熱凝固法の治療期間
欧米では、1泊入院で実施する施設が多く、また、外来のみで行う場合もありますが国内では通常、入院で行われます。RFAを実施したあと、体調面だけでみると2~3日後に退院が可能であることが多いですが、追加治療が必要か否かの判定を見極めるためにRFA後1週間ほど入院するケースが多いです。
ラジオ波熱凝固の治療効果判定
治療効果の判定は、造影CTで行うか、または、特に腎機能の低下した症例の場合には、造影MRIが使われます。腫瘍内の造影効果がみられれば腫瘍残存と判定できるが、実際には判定困難なことも多く、造影CTでのCT値の計測により客観的に評価します。
また、判定困難な場合には経過観察が必要です。RFA後にも明らかに腫瘍内の造影がみられれば、再度RFAを行うかどうか検討されます。
腎臓がんに対するラジオ波熱凝固の治療効果と予後
腎臓がんに対するRFA治療の効果判定は、どこの施設でも主にCTあるいはMRI画像によって腫瘍が消失しているかどうかという基準で行われます。対象が早期がんであることが前提ですが治療が成功し、がん制御ができている割合は93.8~97%で、再発率は8.7%前後とする報告が多いです。
ラジオ波熱凝固の合併症
腎臓がんに対するRFAの重篤な合併症は2.2%、軽度の合併症は6%とされています。軽度なものは、RFA後の血腫形成が多く報告されていますが重篤な合併症として、超音波ガイド下でRFA施行後に腎十二指腸瘻(ろう)を作った報告や、腹腔鏡下にRFAを施行後に腎大腸瘻(ろう)を作った症例も報告されています。
これら重篤な合併症の頻度は少ないながらもRFAの特徴的な症状です。また、尿管狭窄がおこり、長期ステントが必要となった報告や腎不全になった報告もあります。
生存率
腎臓内の腫瘍サイズが4cmまでの腎臓がん患者49人の3年無再発生存率は86.4%であったと報告されているように、予後は比較的良好です。
以上、腎臓がんの治療法についての解説でした。